新型コロナウイルス禍の中、ハロウィーン当日となった10月31日、東京・渋谷には異例の光景が広がった。例年は仮装した若者でごった返し、逮捕者も多く出る。だが今年は、区が中心となり来訪自粛を促しており、コロナ禍としては多くの人であふれたが、仮装した人や、トラブルはほとんど見受けられなかった。

ミニスカポリス、ナース、人気アニメキャラ-。信号が青に変わった瞬間に走り始め、交差点中央で騒ぐ仮装した若者の姿がない。映画「ハーレイ・クイン」のコスプレをした20代女性は「人が少なくて治安が良い。マスクをすれば(来ても)大丈夫」と述べ、コロナ禍のハロウィーンを満喫した。昨年までと同様、DJポリスが配置され、警察官による交通整備が行われたが、身動きが取れずに3密状態になる例年とは違い、歩行者が自分の希望する方向に進めるようだった。

渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長(79)は取材に、この日の渋谷の様子を「例年の8割減。若者(仮装しない人)と、バカモノ(仮装する人)に分かれた。多くの若者が自粛を理解してくれて、日本人の良いところが出た。非常に感謝しています」と話した。来年以降には「渋谷で騒ぐことがカッコ悪いという流れになってくると思う」と、新しいハロウィーンの幕開けを予感した。【佐藤勝亮】