埼玉県戸田市議会のスーパークレイジー君議員(34=本名西本誠)が13日、戸田市選挙管理委員会が決定した居住実態がなかったことを理由とする当選無効を不服とし、埼玉県庁内の県選挙管理委員会に決定取り消しを求める審査申立書を提出した。

新たに依頼した同行の担当弁護士から県選管担当者へ手渡され、即日受理。金髪に濃紺スーツ、黒いちょうネクタイ姿の同議員も隣に同席した。今後は60日以内に県選管が再調査。口頭による意見陳述などを経て、決定を出す。同議員は「(選挙の)3カ月以上前から戸田に住んでいることは間違いない。投票してくれた方の気持ちもあるし、今でも(戸田市の)子どもたちも応援してくれている。どうなろうとも、最後まで戦う姿勢は変わらない。徹底抗戦するつもりです」。再度、当選無効の決定が下された場合は、東京高等裁判所に対し、裁決取り消しの訴えを提起する覚悟だ。

1月31日投開票の戸田市議選(定数26)で、36人の候補者中25番目の912票を獲得して初当選した。直後に、市民から公職選挙法で定められている当該自治体での3カ月以上の居住条件を満たしていない異議申し立てがあり、市選管から調査を受けていた。焦点は「居住実態」の有無。同議員は昨年9月末から知人名義の居住地に住み、同10月上旬には住民票を戸田市に移したことを主張している。だが、市選管側は「居住地が本人名義ではない」「水道などの使用量が少ない」「表札を出していない」「新聞をとっていない」「戸田市内で使用した領収書の提出が少ない」などの理由を挙げて決定した。

同議員は、提出後の会見で「自分名義に変えることが出来なかったのは、選挙の約2年前に逮捕歴があることなどから審査が下りなかったり、カードが作れなかったりする理由もある。立候補前にも、家の名義が違うことなども選管の人には話していた。『住んでいれば大丈夫』と言われていたし、免許証などの住所が戸田市でないことも話していた。自分としては、もうすぐ更新時期だったので、その時に変えればいいと思っていた」と弁明した。一方で、調査途中で調査員の行為に納得が出来ず、途中から非協力的になってしまった点も認めている。今後は、あらためて“証拠”提出などに協力する意向も示した。

再審査となっても、当選無効が再決定するまでは議員であることに変わりはない。16日には市議会も開催されるが「当然、出席します。議員の活動に関しては今まで通り続けます」。すでに大人から子どもまでが24時間体制で相談や学びが出来る“寺子屋”のような「スーパークレイジー君のおうちという活動をしようと思っている」。市民のための計画も進行中だ。

都知事選立候補時を含め、金髪や白の特攻服姿で街頭演説を行うなど注目を集めた。歌手や銀座のクラブ店長などの経歴も持つ。異例の形での議員スタート。今後も議員バッジをつけて活動できるかどうか。未来を変える正念場に立った。【鎌田直秀】