西村康稔経済再生担当相は12日までにツイッターを更新し、新型コロナウイルス対策で酒類提供を続ける飲食店に、取引先の金融機関から順守するよう働きかけを求める発言をし、猛烈な批判を受けて撤回に追い込まれた問題に触れ「反省」の意を示した。「(発言の)趣旨を十分に伝えられず反省しています」と記したが、謝罪はなかった。

新型コロナで苦境に立たされている飲食業界への思いやりのかけらもなく「政府による国民へのどう喝まがいの発言」(野党関係者)として、西村発言への批判は強まっている。インターネット上では、大臣辞職だけでなく議員辞職を求める声もある。

西村氏は、11日に更新したツイッターで「私の発言で、混乱を招き、特に飲食店の皆様に不安を与えることになってしまいました」とした上で、「決して融資を制限するといった趣旨ではありませんでした」などと釈明。「様々なご指摘を重く受け止め、飲食店の皆様のご不安を払拭するため、金融機関への働きかけは行わないこととしました」と説明した。

今後は、飲食店への支援強化や、時短などの要請に協力してもらえるように、協力金の先払い制度の導入による迅速な支払いなどを行うと続けた。酒類提供を続ける飲食店に対しては「粘り強く働きかけてまいります」とだけ記した。

西村氏の発言は8日夜の記者会見で飛び出した。菅政権内にも影響が広がっており、田村憲久厚労相は9日、BSーTBSの報道番組に出演した際に「誤解を招くようなことがいっぱいあった。申し訳なく思っている」と、謝罪に追い込まれた。

取引関係で強い立場にある金融機関を政府の要請で関与させることは、「優越的地位の乱用」に当たる可能性があり、与党内でも発言を疑問視する声が出ていた。野党からは菅義偉首相の責任を求める声もあり、コロナ対策の責任者の1人ながら、西村氏は今後、政権のアキレス腱(けん)となる可能性もある。