京都市左京区の大学が「京都芸術大学」に校名変更したことは混乱を招くなどとして、京都市立芸術大学(同市西京区)が、学校法人・瓜生山(うりゅうやま)学園に名称の使用差し止めを求めた訴訟の控訴審は20日、大阪高裁で和解が成立した。

同学園による「京都芸術大学」「Kyoto University of the Arts」の名称使用を認める一方、「京都芸大」「京芸」の略称については、同学園は「自ら使用せず、また第三者をして使用させない(第三者が自ら使用した場合については何らの責任を負わない)」などとし、市立芸大だけが使えることで合意した。

和解条項では、その上で「双方は互いに相手方のこれまでの研究、教育及びその他の活動に敬意を表し、協力して芸術の発展に寄与することをここに表明するとともに、相手方の名称(通称又は略称を含む)に関して互いに誹謗中傷を行わず、また第三者をして誹謗中傷を行わせないものとする」としている。

京都の“芸大騒動”は19年夏に起きた。同学園が京都造形芸術大学の校名を翌春に「京都芸術大学」に変更すると発表。長い歴史があり「京都芸大」「京芸」などと呼ばれている市立芸大が変更中止を求める声明を出し、大阪地裁に訴訟を起こした。同学園は予定通り変更。20年夏の地裁判決では、市立芸大は他の大学とは「市立」で識別できるとし、受験生らが類似のものとして受け取る恐れはないと判断。敗訴した市立芸大が控訴していた。

校名変更発表時に「京都芸大」「京芸」の略称を使用しないとしていた京都芸術大は、今回の和解を受けて略称について「略称は自然発生的に生じるもの。本学としては略称は使わずに、京都芸術大学という正式名称でのみ使っていく予定」と話している。市立芸大の赤松玉女理事長は「今後は気持ちを新たに、誇りを持って、これからの京都芸大を創ってまいります」などのコメントを発表した。