新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は29日午前の参院内閣委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルスの感染急拡大について「今、この感染を下げる要素があまりない。ところが上げる要素はたくさんある」と指摘した。「一般市民がコロナ慣れ、疲れている。デルタ株の感染力が強く、夏休み、お盆、さらにオリンピックがある」と具体的な拡大要素を示した。その上で「オリンピックの期間中に感染拡大、医療ひっ迫を防ぐため、すべきことは全て全力でやってもらうことが政府、組織委員会の当然の責任」と訴えた。

立憲民主党の杉尾秀哉氏から「事態の深刻さを、どう認識しているか」と問われ、「今の最大の危機は社会一般の中で危機感が共有されてないこと。このまま危機感が共有されなければ、この感染状況は、さらに拡大します」と明言した。

また尾身会長は医療現場について「医療のひっ迫は始まって、実際に救急外来、救急車のたらい回しがすでに起きている。先般の大阪のように自宅療養している人の中で重症化し、亡くなる人も出て来ることを当然、想定して対策を打つ必要がある」と強調した。