政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は15日の衆院厚労委で、新型コロナとの闘いについて「ワクチンを接種したり、いろいろ頑張っても、すぐに制圧してゼロにすることはできない。当面闘いは続けていく必要がある」と指摘した上で、「社会の不安感がなくなるのには、2~3年プラスかかるのではないか」と述べた。

今後の見通しを問われた尾身氏は、インフルエンザを例に出して「正確には神のみぞ知ることだが、インフルエンザはワクチンがあり、薬がどこにでもある。そうすると社会の不安感はなくなる」とし、新型コロナについて「そういう風になるのには2~3年プラス」とした。「第6波」の可能性について聞かれると「ワクチンで逆に安心感が出て、感染対策を緩めると、結果的に感染拡大する」と指摘。接種率が上がって気が緩むことに対して、警戒感を強調した。

一方、今後の行動制限の緩和についても「ワクチンで行動制限を急に緩めると必ずリバウンドがくる」と懸念を示した。政府は希望者のワクチン接種完了を想定する11月ごろをめどに、緊急事態宣言下でも都道府県をまたぐ旅行や飲食店の酒類提供を認めるなど、行動制限を緩和する方向だが、尾身氏は「緊急事態宣言解除後に、感染がある程度落ち着いた時に徐々にやっていくことが、これから取る道だと思う」と話していた。

立憲民主党の尾辻かな子氏や長妻昭氏らへの答弁。