ウクライナ当局は8日、激戦地の東部スムイからの「人道回廊」を設け、市民が退避を始めたと発表した。ロシアとの合意に基づく市民退避は初めて。ロシア国防省は5カ所の人道回廊を開設したと発表したが、退避先の大半がロシアやベラルーシで、ウクライナ側が反発。ロシア側と合意できたのはスムイからウクライナ側への人道回廊のみだと説明した。

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両国が7日に行った3回目の停戦交渉は合意に至らなかった。ロシア側は合意文書案を提示し、ウクライナ側が持ち帰ったと説明した。次回交渉は近日中。

米国防総省高官は、ロシア軍が集結させた戦力のほぼ100%を投入し、ミサイル625発以上を発射したとの分析を示した。国連難民高等弁務官事務所は周辺国への避難民が200万人に達したと発表。半数が子どもという。

米CNNテレビは、米欧の政府当局者らがウクライナのゼレンスキー大統領が逃れて別の場所に亡命政府を樹立した場合を視野に支援方法を協議中と報じた。7日付米紙ニューヨーク・タイムズは、6日朝にキエフ近郊でロシア軍の砲撃で犠牲となったウクライナの親子らの遺体写真を1面トップで掲載。退避しようとした女性と子ども2人、知人男性の計4人が路上に横たわり、ウクライナ兵が駆け寄る場面を捉えている。

一方、7日付の英紙タイムズはロシアによるウクライナ侵攻は「完全な失敗」とする、ロシア情報機関、連邦保安局(FSB)の内部文書とみられる報告書の内容を報道。真偽不明だが、文書はロシア軍の死者が既に1万人規模に上っている恐れがあるとし「ロシアは追い詰められている。勝利の選択肢はなく、敗北のみだ」と指摘している。