ロシア軍によるウクライナ侵攻の甚大な被害に対し、ワイン業界も「売って」「買って」「飲んで」支援している。

ウクライナ産ワインを扱う商社「ヘルムズ」(横浜市中区)は5つの現地ワイナリーと独占販売契約を結んでおり、石井佑樹社長は売り上げの一部を寄付することを決定した。横浜市在住でウクライナ出身の同社営業担当ヴァシナ・アンナさんは16日、「役に立てることがうれしい。遠くにいてもサポートしていきたい」。同国北東部のスムイで暮らす家族とはLINEなどで連絡は取り合えているが、相次ぐ戦火のニュースに不安な思いは増大するばかりだ。

「北条ワイン醸造所」(鳥取県北栄町)では、山田和弘専務の妻マリーナ・ピロゴバさんが同国カーミヤンシケ出身でもあり、ウクライナ国旗をイメージしたオリジナルラベルの「義援金ワイン」を販売中だ。9日に発売を開始した第1弾が早くも完売し、14日からは第2弾を新発売。1本(3000円)につき1000円を寄付する。

日本ソムリエ協会(東京都千代田区)も日本に輸入されているワインを積極的に購入して試飲会などを開き、間接的に経済支援につなげる意向だ。

同じ東欧スロベニアにはウクライナのゼレンスキー大統領と“同名”の、同国白ブドウ固有種「ゼレン」を使ったワインもある。スロベニア産ワインを扱う商社「365wine」(大阪市西区)大野みさき社長は「白ワインには珍しく、ゼレンを使ったワインは、白こしょうのようなスパイシーな香りを感じる。ゼレンは緑の意味。ハーブのグリーンのイメージ。現地ではお祭りで飲まれることが多いようです」と説明。ウクライナには「言葉が見つからない」と悲痛な思いを胸に、「私に出来ることは、ワインを通して発信し、ウクライナのことを考える機会をつくること」。18日にはウクライナ出身の知人をゲストに迎え、インスタライブでウクライナワインを飲みながら、現地の様子も紹介する予定だ。【鎌田直秀】