東京・池袋の都道で19年4月に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故の遺族・松永拓也さん(35)が、3回目の命日を迎えた19日、事故現場前に建立された慰霊碑に献花した。

松永さんは、事故が発生した午後12時23分、両親と真菜さんの父・上原義教さん(64)を伴い、慰霊碑の前に立つと、献花して手を合わせた。約1分間、手を合わせた中で「愛してるよ…ありがとう」と伝えたという。

献花後、報道陣の取材に応じた松永さんは、今の思いを聞かれ「(事故から)3年たったんだな…今、振り返れば早かった。事故当日は命を絶とうと思うところから始まった。交通事故を1つでも減らすための活動…真菜と莉子を思いながら命を無駄にしないよう、出来ることは1つ1つ、やってこられたのかな」と毅然(きぜん)と語った。

ただ、この日が命日であるということを口にすると、涙声になった。「命日を迎えると、2人の命がなくなってしまったんだなと思うと…とても会いたい、抱き締めたいなと思ってしまいます」と声を絞り出した。そして「毎度、毎度、しつこいかも知れないけれど…3年たっても苦しいし、この先、4年たっても、5年たっても、何十年たっても命日を迎えるとこういう気持ちになるんだと思います」と涙声になった。

事故発生から1年半後の20年10月8日に初公判を迎えた刑事裁判は、21年9月2日に判決が言い渡され、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪に問われ禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決を受けた、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三元受刑者は(90)は収監された。その刑事裁判を振り返り、松永さんは「あんな苦しい刑事裁判も、こんな苦しい思いも、寂しい思いも、全部、交通事故が起こるからなんですよ」と涙した。その上で「どこかで同じように愛する人を亡くし、健康を損ねて苦しんでいる人がいるのが現実。私たちだけじゃないからこそ、交通事故はなくさなければいけない。だから活動しています」と声を大にした。