藤井聡太棋聖(竜王・王位・叡王・王将=19)への挑戦権を争う、将棋の第93期ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦、渡辺明名人(棋王=38)対永瀬拓矢王座(29)戦が25日午前10時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。

先手後手を決める振り駒は、歩が4枚出て、渡辺が先手。1分考えて先手7六歩と角道を開けた。対する永瀬は後手8四歩と飛車先の歩を突いてスタートした。

渡辺は勝てば3期連続の登場となる。今期の決勝トーナメントでは島朗九段、三浦弘行九段、久保利明九段とベテランのタイトル獲得経験者を撃破してきた。

一昨年は藤井の挑戦を受けて1勝3敗で棋聖を失うと同時に、藤井の史上最年少タイトル獲得への引き立て役となってしまった。昨年は王将、棋王、名人と防衛して、棋聖戦に挑戦者として勝ち上がってきた。結果は3連敗で、藤井に初防衛をアシストする結果となった。

現在、名人戦7番勝負に2年連続して挑戦してきた斎藤慎太郎八段(29)に連勝中。今年早々に始まった王将戦7番勝負では藤井に4連敗してタイトルを失ったが、棋王戦5番勝負では永瀬に3勝1敗で防衛、10連覇を果たした。勢いに乗って再度、史上最年少5冠に挑戦するチャンスを得たい。

永瀬は2016年(平28)以来、6年ぶり2回目の棋聖戦登場を目指す。この時はタイトル戦初登場だったが、羽生善治棋聖(当時)に2勝3敗で敗れている。今回は名人獲得経験者の丸山忠久九段、西田拓也五段、佐々木大地六段と若手実力者を下してきた。渡辺に勝てば、藤井と初めての頂上対決となる。

持ち時間は各4時間。25日夜には決着の見込み。