自民党の萩生田光一政調会長は、25日のフジテレビ番組「日曜報道 THE PRIME」に出演し、岸田文雄首相が決めた防衛費増額に伴う増税を行う前には、衆院解散・総選挙で国民に信を問う必要があるとの認識を示した。

萩生田氏は「いきなりの増税には反対」とした上で、「もし増税を決めるということなら、過去の政権がいずれもそうだったように、明確な方向性が出たときには、いずれ国民の皆さまに、ご判断をいただく必要も当然ある」と述べた。7月の参院選で防衛費増額に触れたものの「増税でまかなうことは約束していない」と指摘。増税前の衆院解散・総選挙について「党としては基本的にそう考えている」とも語った。

ただ解散権を持っているのは岸田首相だ。萩生田氏の発言は、首相の増税路線をけん制する意味合いがあるのではないかとの見方も、永田町では出ている。

萩生田氏は、安倍晋三元首相の側近だった。萩生田氏のこの日の発言には、安倍氏が消費税率の10%への引き上げ時期延長方針や、その使途変更について国民に信を問うとして、2014年12月と2017年10月の2度、衆院解散・総選挙に踏み切ったことが念頭にあるとみられる。

防衛費増額をめぐっては、安倍氏が生前、増税ではなく国債で対応する必要性に触れていたことから、自民党内議論では萩生田氏も所属する安倍派で、増税への反対が続出。萩生田氏も当面は国債発行も選択肢になるとの考えを示していたが、政調会長の立場から、党内議論のまとめ役の立場を優先した経緯もあった。