ひょうたんのような形をした着ぐるみタイプの「着るビーズクッション」が突然人気商品としてバズっている。

これはビーズクッションで人気のタキコウ縫製(本社・愛知県岡崎市)が昨年の12月25日に発売した新商品。商品展示するイベントなどで「ブースを目立たせるためだけ」の目的で7年前に作ったもの。

その後改良され、昨年12月のイベントで来場者に着てもらうパフォーマンスをしたところ「これいいね」「あったら買う」などの声が相次ぎ、滝川進社長(56)が「いけるぞ」と大号令をかけて商品化した。税込み価格は大人用のLサイズ(重量5キロ)が1万7800円、子ども用Mサイズ(同2・2キロ)1万2800円、幼児用Sサイズ(同1・1キロ)9800円。

しかし、社長の鼻息の荒さも反映されず、さっぱり売れない。1月24日にようやく1つ売れた。その日、SNSで紹介されたことがきっかけで翌25日に在庫の30個が一気に売れた。さらに2日後の27日時点で1200個の注文が殺到した。すべて自社の手縫いでつくっているため、現状では2カ月待ちの状態となっている人気ぶりだ。

広報担当で3代目となる滝川昇吾さん(31)は「今年会社としてちょうど50周年。これが目玉商品じゃなかった。社員からも販売には猛反発を食らっていたいわく付きでした。何があるか分かりませんね」と口をあんぐりさせている。

タキコウ縫製は社員20人で縫子などのパートも含めても約60人。他社の下請けで手縫い作業を引き受けてきた。布製品のパーツをつくって納入しており、一時期はモップの部品づくりなどもしていた。現在も下請けには出さずにすべてを自社で製作している。2008年からインターネットショップでビーズクッションに特化して、あまりに気持ちよく過ごせることから「人をダメにするクッション」とのネーミングで売り出して人気を得た。「着る-」も「人ダメ」シリーズになる。

現在「着る-」はモスグリーン、ナチュラルベージュ、モカ、チャコールグレーの「おとなしめの配色」ということもあり、春に向けてカラフルな原色なども予定している。ユーザーからは「もっと大きなサイズもほしい」との要望あり、現在前向きに検討中という。【寺沢卓】