岸田文雄首相は8日の衆院予算委員会で、LGBTなど性的少数者への差別発言で荒井勝喜元首相秘書官を更迭したことに関連し、「私自身、ニューヨークでの小学校時代に(日本人という)マイノリティーとして過ごした経験がある」と訴えた。

自身の著書「岸田ビジョン」の中で「LGBTを含むさまざまな方々が尊重され、活躍できる社会像について記述した」と述べ、その背景について言及。海外での経験を含め「女性だから、高齢者だから、LGBTだからという理由で役割や能力を十分に発揮できなかった残念な思いをしてきた方の思い、こうしたものが土台になっている」と述べた。自民党の宮下一郎衆院議員が、荒井氏の差別発言について質問した中で答えた。

首相は、荒井氏の発言について「政府の方針とあいいれず言語道断だ。国民に誤解を生じさせたことは誠に遺憾であり、不快な思いをさせてしまった方々におわび申し上げる」とあらためて謝罪した。

首相はまた、1日の同委で同性婚の法制化について「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と答弁したことに関して「けっして、議論まで否定するというネガティブな意味で申し上げたわけではない」と、釈明した。「国民1人1人の家族観にかかわる問題との認識を申し上げた」とも述べた。発言は撤回しない考えを示した。

立憲民主党の岡本章子衆院議員の質問に答えた。