東日本大震災から12年。岩手県大槌町の避難所で出会った3歳の小松倫子ちゃんは15歳となり、来月、高校に入学する。

20、21年はコロナ禍で会えず、このほど、3年ぶりに自宅を訪れた。最後に会った時は小6生だったが、今では時折大人びた表情を見せる“おねえさん”になっていて驚いた。時の流れが少女を確実に成長させている。

高校生になる期待と不安を聞いてみると「楽しみしかないです」と笑顔で即答だった。環境が変わることへの不安は本当にないの? 重ねて問うと「まったくない」と迷いなく言い切った。頼もしい!

小学校入学と同時に始めた空手は初段の腕前だ。小中学校(一貫校)の部活動には空手部がなく、校外クラブで稽古を積んできた。だが、来月からは高校の部活動で、クラブで一緒に汗を流してきた先輩たちと拳を交えることができる。それが楽しみでならないという。「これまでは組み手1本でやってきたけど、高校では形もやってみたい」。強くなるだけでなく、空手の幅を広げることにも意欲を見せていた。

受験勉強の合間の息抜きは、10代に大人気のバーチャルユーチューバー「いれいす」の動画を見ること。「すごくいいですよ」と声を弾ませる。昨年12月の誕生日には祖父からシャワーヘッドを、兄(24)からはドライヤーとアップルウオッチをプレゼントしてもらった。空手着を脱いだら、流行とファッションに敏感な15歳だ。

将来、就きたい職業は、看護師、医者からピアニスト、科学者と変遷して現在はスポーツトレーナー。体を動かすことが好きなので、スポーツ関係の仕事で働きたいと未来予想図を描いている。母広子さん(43)が「高校に行ったら空手も勉強も頑張って文武両道を目指してほしい。倫子なら必ずできるから」と熱いエールを送ると、「うーん」と少し思案。その後で「できるところまで頑張りま~す」とジョーク交じりに返した。隣で聞いていると、まるで“親子漫才”のようにほほ笑ましい。

「倫子」の名前は「まっすぐに育って欲しい」との願いを込めて広子さんが名付けた。家族の愛情をたっぷり受け、その名の通りに笑顔が魅力的な女性に育っている。【松本久】