元東京都知事で国際経済学者の舛添要一氏は7日までに自身のブログを更新し、「何のための大阪万博か?」のタイトルで、2025年に開催が予定される大阪・関西万博への機運が盛り上がっていないことに言及した。東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開催目的との違いに触れながら「経済波及効果を主たる目的とするようなイベントが人々の心を動かすはずはない。万博のあり方について、国民的議論が必要である」と指摘した。

大阪・関西万博をめぐっては、資材や人件費の高騰による建設費、運営費の上昇、施設建設の遅れなどの問題が指摘されている。

舛添氏は、大阪・関西万博が「多くの問題を抱えている」とした上で「経費の膨張、建設や外国らの参入の遅れなどであり、予定通りのスケジュールで開催できるかどうか怪しくなっている」と指摘。その上で「五輪や万博などの大型イベントを誘致するときの殺し文句は『経済効果』である。要するに、お金が儲かるから実行しようというわけである」と記した。

「大阪万博の経済効果については、アジア太平洋研究所が2兆9182億円という数字を出している。約3兆円である」と紹介しながら、増額を続ける会場建設費に言及。「建設費は、政府、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する。『政府』ということは税金ということなので、大阪の住民でない日本国民も負担するのである」と、国民全体の負担が見込まれることに触れた。運営費についても「800億円と見込んで、チケット販売収入でまかなう計画であったが、数百億円程度の増額が不可避だという」と指摘した。

その上で、「経済効果」の観点から私見を披露。「東京オリンピック・パラリンピックは、期待された経済効果を生まなかったとはいえ、アスリートたちの活躍もあって、大きな感動を生んだ。やはり、世界最大のスポーツの祭典である」とする一方で、大阪万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」や、コンセプト「People's Living Lab(未来社会の実験場)」に触れ「テーマが抽象的すぎて、皆が飛びつくようなものではないし、世界各国がこのテーマでどのような展示をするのだろうか。残念ながら、会場に足を運びたくなるようなものではない。そこが五輪と決定的に違う」と訴えた。

「経済波及効果を主たる目的とするようなイベントが人々の心を動かすはずはない。万博のあり方について、国民的議論が必要である」とも記した。