藤井聡太王座(23)が同学年の挑戦者、伊藤匠叡王(23)と2勝2敗で迎えた将棋の第73期王座戦5番勝負最終第5局が28日、甲府市「常磐ホテル」で行われた。対局は先手の伊藤が勝ち、対戦成績3勝2敗で王座を初めて獲得。タイトル獲得通算3期となり、九段に昇段した。藤井は6冠(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将)に後退した。
「ひふみんEYE」でおなじみ、加藤一二三・九段(85)が対局を振り返ります。
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伊藤2冠はよく勝ちました。第5局を見る限り、攻防とも一枚上。立てた作戦が良かったのでしょう。
中盤、藤井6冠が9筋から歩を成ってきましたが、金で7筋の飛車を取るという強手に出ました。その後、一転して攻め合いになっても8筋の桂打ち、7筋にある銀の頭への歩突きと、攻めの妙手が続きました。防戦する藤井6冠の4筋にズラした金は粘りが利きませんでした。
終盤、防御に回っても藤井6冠の攻めに対し5筋に銀を上がっる最善手を見せました。持ち時間がない中、「最後のお願い」でワナを仕掛けてきた6筋の香打ちにも冷静に対応していました。
藤井6冠は珍しく最後に競り負けました。五分の終盤なら負けないはずですが。それだけ対戦相手が研究しているということでしょう。ライバルはひたひたと迫ってきています。これから対応力が課題になるでしょう。
1日制の5番勝負とはいえ、藤井6冠からタイトルを2度も奪ったのは同学年の伊藤2冠だけ。すごく価値があることです。7番勝負で2勝しているのは22年竜王戦の広瀬章人現九段、23年王将戦の羽生善治九段、24年竜王戦の佐々木勇気八段、今年の王位戦の永瀬拓屋九段と4人いますが、タイトルを奪取した棋士はいません。これで将棋界は藤井・伊藤の2強時代になると思います。(加藤一二三・九段)

