36年ぶりの真冬の選挙戦に、各陣営はあの手この手で対応している。27日に公示された衆院選(2月8日投開票)。2月投開票は1990年の第39回選挙以来36年ぶりだ。厳しい寒さの冬と受験期も重なった異例の時期の選挙について、候補者や陣営スタッフの声を聞いた。
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27日公示後の平日。午後3時過ぎ。都内の駅周辺の広場では、女性候補者が白い息を吐きながら、素手で有権者の手を握り締めていた。街宣車の上でも素手でマイクを握った。女性候補者は「やっぱり素手で握手したいので」と、手袋はしない。当該陣営の選挙スタッフによると、女性候補者は街宣車の登壇時にカイロをマイクに巻き付けて、こっそりと暖を取っているという。
この陣営は昨年7月の参院選では陣営側が統一してスーツ着用を決めたが、今回はスーツ着用に限定せず「防寒第一」とした。選挙スタッフは「暑い方が楽です。だって痛くないでしょ? 寒いって痛いですから」と全身厚めの防寒具に身を包み、苦笑いした。
都内の別の立候補者は選挙カー内での寒さを明かした。「選挙カーって窓を空けて演説するんです。いくら暖房を入れても…寒いです。東京でこれですから。東北や北海道だと…」と率直な感想を語った。陣営スタッフは「寒いので、あまり(聴衆が)立ち止まってくれません」と語り、冬の選挙戦での“客足”の特徴を明かす。夏場と違って、有権者の「滞留が鈍い」という。中にはポケットに手を入れて歩く有権者も多く、「ビラのはけは悪いですね」と明かした。
受験期が重なったことも選挙戦略に影響を与えている。東京では2月1日から中学受験が次々と始まる。教育を公約の1つに掲げる女性候補者は、通常のマイク音量の8割減で語りかけていた。本来なら高層マンションなどに声を反響させる効果を狙うというが、今回は演説場所によって音量調整して下げているという。女性候補者は「私が教育をテーマに掲げているのもあって、受験生には迷惑をかけたくない」と理由を明かした。
通常の選挙でも選挙カーは学校周辺だと音量を下げる配慮をする中、女性候補者陣営は学校の位置はもちろん、演説会場周辺の塾の位置もリサーチ済み。塾の学習時間を聞いた上で、その時間外での演説を心がけているという。女性候補者は一児の母でもあり「子供にとっても大変な時期」と苦渋の決断を語った。
わずか12日の短期決戦。今までの前例が少ない「2月選挙」の戦術を早く確立し、適応できるか。異例の真冬の総選挙の1つのカギになりそうだ。

