任期満了に伴う石川県知事選は8日に投開票され、自民党、日本維新の会が推薦した現職の馳浩氏(64)が、自民党出身の無所属新人で元金沢市長の山野之義氏(63)に敗れる大波乱の結末となった。

馳氏に対しては、国会議員時代から親交がある高市早苗首相が、米国などによるイラン攻撃直後のタイミングで馳氏の応援で金沢に入り、批判を受けた経緯がある。国際情勢が緊迫する中、与党内でも「大きなリスク」(関係者)とされた選挙応援を強行した末に、馳氏が敗れる「最悪の結果」(同)となり、高市首相の危機管理判断も含めて、批判が再燃する可能性もある。

政権発足後、知事選で自民党の推薦候補が敗れたのは初めてだ。

馳氏は、2021年に高市首相が初めて立候補した自民党総裁選で、推薦人のに名を連ねた1人。3人が立候補した今回の選挙戦は、事実上の保守分裂による一騎打ちで馳氏と山野氏の激戦が伝えられ、高市首相の異例の現地入りにつながったとみられる。高市首相は今月2日の党役員会でも、出席した役員に対し、関係各所に支援を呼び掛けるよう要請したとされる。

今回は、2024年元日に発生した能登半島地震後、初めての知事選となり、地震からの復旧、復興などが主な争点に。ほとんどの自治体で馳氏の票数は山野氏を上回ったが、大票田の金沢での票差が結果を決めた形となった。

高市首相は先月8日の衆院選で、「高市人気」で自民党を歴史的圧勝に導いた。現職として再選を目指した馳氏陣営は、その勢いにあやかろうと、高市首相に応援要請を行った可能性もある。国とのパイプを強調する馳氏の応援には、日本維新の会の吉村洋文代表のほか、閣僚らも応援に入った。

今回の結果を受けて、ある政界関係者は「被災地の復旧、復興には長期的な視点が必要となる。衆院選で全国の有権者が熱狂した『高市旋風』は、ほかの野党の事情も合わせての、ある意味特異な現象。高市総理の人気だけで知事選の行方がどうにかなる、というような状況ではなかったのではないか」と、指摘した。

初当選した山野氏は、金沢市長を約11年間務めた経験をアピール。特定の組織の支援を受けず「草の根」選挙で、前回8000弱票あまりの差で敗れた馳氏にリベンジした。馳氏は8日深夜、山野氏に当確の一報が出た後、事務所で支援者を前に「ひとえに私の責任。申し訳ない」と述べた。