5連覇を目指す藤井聡太王将(23)が、2日制7番勝負で初めてのかど番をしのいだ。挑戦者の永瀬拓矢九段(33)に1勝3敗で迎えた将棋のALSOK杯第75期王将戦7番勝負第5局は9日、栃木県大田原市「ホテル花月」で行われた。8日午前9時からの2日制で始まった対局は、先に仕掛けて優位に立った永瀬に逆転勝ち。対戦成績を2勝3敗とした。このまま連勝で追いつき、最終第7局(25、26日、大阪府高槻市「関西将棋会館」)へと望みをつなげるか。第6局は18、19日、名古屋市「名古屋対局場」で行われる。

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藤井が息を吹き返した。昼食休憩再開の後、永瀬に緩手が出た。こうなったら逃さない。残り時間をしっかり使いながら反撃して局面をひっくり返した。

初日、角換わりを拒否して手探りの力戦へと持ち込んだ。じっくりとした駒組みが一転、9筋の歩を突いてきた永瀬の仕掛けに防戦一方となる。「序盤の手の組み合わせで工夫しなければいけなかった。戦機をつかまれてしまった。仕方のない展開にした」。負けとタイトル失冠を覚悟した。自陣4筋に打った飛車を攻防に利かして、局面を打開した。

過去のタイトル戦は5戦5勝。好相性の栃木県で踏みとどまった。今シリーズ、同8戦8勝だった静岡県で開幕局(1月11、12日、掛川市)を落とした。10戦10勝の京都府の第2局(同24、25日)こそ勝ったものの、そこから連敗。「内容的に良くない」と言うほど、厳しい状況だった。崖っぷちからの大逆転だった。

将棋界では過去1勝3敗からの逆転3連勝は4例。王将戦では1966年(昭41)第15期で大山康晴王将が山田道美八段に、82年第31期で大山王将が中原誠名人に、90年第39期で米長邦雄九段が南芳一王将に、それぞれ逆転している。92年第50期名人戦で中原名人が高橋道雄九段から逆転防衛している。

永瀬と7番勝負で対決した昨年の王将戦、名人戦、王位戦では藤井が開幕から3連勝した。「もう1局指せるので、目の前の1局に集中して精いっぱい頑張りたいと思います」。今回は逆転3連勝防衛を目指す。【赤塚辰浩】

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