イクイノックス1頭だけ次元が違った。日本レコードを0秒9更新する1分55秒2にも驚きだが、前半1000メートル57秒7のハイペースを3番手でついていき、後半も57秒台前半でまとめるすごさ。まさに見ての通り。何も言うことはない。ルメール騎手の「オーバーペースじゃなくて普通のペース」というコメントが、この馬の強さをより引き立たせた。

ここまでイクイノックスが強いと、前へ行った馬や怪物を追いかけた馬は苦しくなる。後方に位置したジャスティンパレス、プログノーシス、ダノンベルーガが2~4着という結果はある意味必然だ。

この3頭では2着ジャスティンパレスが新境地を開いたといっていい。これまでは長距離での活躍が目立つが、この超高速決着に対応して脚を使えたのが進化の証し。

スタートが遅く、当初のプランとは違うポジション取りになったが、速い流れを読んでしまいに懸けた横山武騎手の冷静なペース判断も光った。確実に力をつけており、2400メートル以上ならもっといいパフォーマンスが見せられる。

3着プログノーシスにも同じことがいえる。慌てて前を追いかけていたら、33秒台の脚は使えなかっただろう。G1、高速馬場でもやれることが分かったのは収穫だ。

天皇賞・秋を制し馬上礼するC・ルメール騎手とイクイノックス(2023年10月29日撮影)
天皇賞・秋を制し馬上礼するC・ルメール騎手とイクイノックス(2023年10月29日撮影)