エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

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下記写真の右側の、馬の腰・尻・もも辺りがまとまって楕円の様な固まりに見える部分を、必ずしも呼び方は統一されていないようだが、当コラムでは「ヨロ」と呼ぶことにする。

赤い丸で囲まれている部分がヨロの筋肉
赤い丸で囲まれている部分がヨロの筋肉

たまに「馬選びで何を一番重視しますか?」と聞かれることがあり、馬選びには本当にたくさんの判断要素があってとても難しい質問だが、どれか一つだけと言われれば、「ヨロの筋肉」と答えると思う。

そしてまず、ヨロの筋肉が豊かで柔らかであることを重視している。具体的には、(1)適量以上で多すぎないヨロの筋肉が、(2)中央・つけ根・全体が盛り上がって豊かに膨らみ、(3)ヨロのラインがはっきりよりうっすら出ている程度の引き締まりで、(4)中央付近含めてふわっとした柔らかな感じで隆起している馬を選別する所から馬選びを始めている。筋肉が柔らかくて豊かな馬の方が、緩くてデビューは多少遅れるかもしれないが、硬くて貧弱な馬より速く走れることが多いし、故障も少ないという視点からの選択である。

次にヨロ筋肉の形状としては、(1)ヨロが縦長で、(2)ヨロの上幅が広めで下幅が狭めの、イメージ的には逆台形か骨付きチキンのような形が好みだ。さらに、(3)腰角(ヨロの左上にある角張って盛り上がった部分)が上方に豊かに隆起し、(4)ヨロのトップラインが、上方にぐっと隆起している馬が好きだ。

これは、競馬の返し馬等で馬が走る姿を見てもらえばわかるだろうが、このような形状の方が、ヨロを上部に引き上げやすく一歩のストライドも長くなるだろうという考察に基づく。

これを読んだ多くの方が「抽象的でわかりにくい」と言われるかもしれない。しかし馬選びには、言葉で客観化できる部分と、どうしても感覚的な判断に頼らざるを得ない部分があるのでご容赦願いたい。

ただ上記視点で募集馬の写真のヨロを何頭も何頭も見ていれば、「豊かで柔らかな隆起」や「上方隆起」の意味が徐々につかめてくるはずだし、1頭1頭のヨロの違いが段々判別できるようになってくると思う。

あくまで参考だが、2022年度募集馬では、シルクはイルーシヴグレイスの21、キャロットはギーニョの21が、ヨロの筋肉は一番好みだ。なぜか2頭ともレイデオロ産駒という共通点がある。

馬を正しい視点で数多く見れば見るほど自然とついてくる「馬を見る目」、それこそが正に「相馬眼」なのだと思っている。