エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

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コロナ禍もあって募集馬のDVDを送らなくなったクラブが多いが、代わりにどのクラブも、ホームページ上からYouTube等にリンクして募集馬の歩様の動画を見ることができるようになった。

 募集馬の歩き方も、馬選びには大切な要素と考えており、歩き方を最重要視して馬選びをされている方も多いようだ。

 止まっているパンフ写真による判断でさえ難しいのだから、動いている馬の良しあしの判断はさらに困難だし、歩きの見方や重視するポイントも本当に人それぞれだと思う。以下参考までに、私なりの歩きの観察ポイントをいくつか挙げておこうと思う。

まず最初に、横からの撮影画面で、歩きの「可動域」の広さを見る。一歩を大きく出せる馬ほど距離を稼げて速く走れるだろうという考え方である。

まず馬が前脚を前に出した時、どれぐらい肩の出がいいかを観察する。何頭かの歩き動画を見ていれば分かるだろうが、肩が柔らかく腕関節(腕節)がかなり前に出ている馬と、肩が硬くて腕節があまり前に出ない馬がいる。ここでは前者の方を高評価する。これも目視では分かりにくいので、右に向かって歩く映像であれば、右足が最も前に振り出されたところで動画を停止し、馬の前腕(腕のように見える部分)と地面(水平線)の角度(腕の角度)を測定している。50度が標準、45度以下なら柔らかくて可動域も広くベストであり、55度以上の硬い馬は故障のリスクも考えて様子を見るようにしている。

次に後ろ脚、特に飛節がどれくらい伸びるのかをチェックする。これも馬の後ろ左脚が地面を離れる寸前の飛節が最も伸びた所で動画を静止して観察している。飛節は構造上少し曲がっているので少し曲がるくらいが標準だが、馬によっては飛節が直線に近く伸びる馬もいてこれはプラスである。一方、かなり曲がったままでほとんど伸びない馬もおりこれはマイナス材料である。

また、右後ろ脚を踏み込んで地面につけた時の状況を観察し、これがくの字に良く曲がっているのはプラス要素、くの字と言うよりまっすぐに近い場合はマイナス要素である。以上の要素の総合判断で、可動域が狭く体が硬いと判断した馬は様子を見るようにしている。

2022年度キャロットクラブ募集馬では、アドマイヤローザ21の肩の出を良く感じた。また、リスグラシューも可動域を広く感じた1頭だ。可能な方はご覧いただきたい。