北海道日高町にある引退馬牧場のYogiboヴェルサイユリゾートファームが掲載した、ビーズソファに横たわるアドマイヤジャパンの動画が大バズりしている。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は舟元祐二記者が、同ファームの岩崎崇文代表を取材した。YouTubeでの再生回数は100万回を超え、引退馬の人気を再沸騰させて大きな反響を呼んでいる。引退馬のセカンドライフについて聞いた。

アドマイヤジャパンの動画を見て自然と笑顔になった。ディープインパクトが無敗の3冠を達成した05年に皐月賞3着、菊花賞2着などの実績を残した。20歳の今は引退馬。Yogibo(ヨギボー)が手掛ける“快適すぎて動けなくなる魔法のソファ”に横たわっている。いち競馬ファンとして、引退馬に焦点を当てた動画に感銘を受け、ヴェルサイユリゾートファームへ取材に行ってきた。

「馬は寝わらをかき集めて、寝やすい環境を作ったりするので、ソファも気に入ってくれるのではと思った」と岩崎代表は言う。このアイデアが大的中。うっとりとした表情でソファを枕にするアドマイヤジャパン。その姿の動画がバズり、視聴者をとりこにした。「動画がはやることで広告宣伝にもなるし、引退馬自身で利益を出せることを証明できた」と熱い思いで語る。8日からCMとして全国でオンエアされている。

幼少の頃に乗馬をしていた同代表にとって引退馬は身近だった。「大学卒業間近で父が亡くなりました。遺言で父が趣味でやっていた生産牧場を残してほしいと言われ、継ぐことを決めました」。そして引退馬の厳しい現実を目の当たりにした。優秀な成績を残した牡馬は種牡馬になれるが、ほんの一握り。現役を引退した多くが乗馬や産業動物として扱われる。生産牧場を通して、さらに引退馬の行く末に興味を持った。どうにかサポートできないかと模索した。「知り合いの馬を預かることから始めて、そして縁があって18年にローズキングダムが来た」。10年ジャパンCを制した名馬の影響は大きかった。見学者が増え、引退馬専用の牧場を開場した。「そこで見学に来られた人の中にYogiboの副社長と知り合いの人がいて、紹介していただきました」。ソファを置くきっかけになった。

馬が安心して余生を送れるように、プロデュースに力を注ぐ。僕たち一般人でも何か力になれることは…。最後に投げかけると「見に来てもらえるだけでも大きいです。皆さまに馬を身近に感じてもらうことが一番ですので。うちはいつでも歓迎です」と笑顔で答えてくれた。【舟元祐二】

◆Yogiboヴェルサイユリゾートファーム 北海道日高町にある引退馬牧場。18年に分場ヴェルサイユリゾートファームとして開場。21年9月よりYogiboとスポンサー契約を結び現在の名称に。ローズキングダム、ヒルノダムール、タニノギムレットなどのG1馬をはじめ、20頭以上の引退馬が余生を過ごしている。宿泊施設やカフェから引退馬を間近で見学できる。見学は予約不要で、現在の営業時間は午前9時から午後3時(最終受付は午後2時30分)。木曜日が休場日。祝日の場合は翌日が休場日。

◆「バズる」とは SNSなどのインターネット上で大きな話題となり、多くの人に注目されていること。ネット利用者が使う俗語。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)

Yogiboヴェルサイユリゾートファームの岩崎崇文代表
Yogiboヴェルサイユリゾートファームの岩崎崇文代表