12番人気の人気薄イズジョーノキセキ(牝5、石坂)が、アイドルホースを撃破する金星を挙げた。

岩田康誠騎手(48)を背に白毛のG1・3勝馬ソダシをゴール寸前、頭差差し切った。勝ち時計は1分44秒5。4度目のJRA重賞挑戦で初タイトルを獲得した。石坂公一調教師(39)も19年の開業からJRA重賞初勝利。今後は優先出走権を手にしたエリザベス女王杯(G1、芝2200メートル、11月13日=阪神)に駒を進める見込み。

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ファンの目線が先に抜け出したソダシに注がれた時、イズジョーノキセキがゴール前で猛然と襲いかかった。頭差の差し切り。場内が騒然とする中、岩田康騎手は会心のガッツポーズだ。「最高のレースができたので体が自然と反応した。さすが(直線の長い)東京競馬場。この馬の末脚だからこそ勝てた。ソダシが前にいるのは分かっていて、後ろにつくと道が開くと思った」。11戦目のコンビ。パートナーを知り尽くすベテランの巧みな手綱さばきだった。「馬主さん(泉一郎氏)も園田からずっと応援してくれて、期待に応えられてうれしく思います」と感謝を込めて喜びをかみしめた。

石坂師はJRA重賞36度目の挑戦で初めて勝った。「地方でテオレーマも勝ってくれたし、うちのスタッフなら取れると思っていたし、それくらい実力ついてきたと思う。うれしいです」と厩舎力の向上を実感した。

次走は馬に問題がなければエリザベス女王杯に向かう見込み。昨年はまだ3勝クラスで、格上挑戦して5着に善戦した。師は「大人になって馬体、精神的にも理想的になりました」と完成の域に近づいた。アイドルホースからの金星奪取を自信に、堂々の重賞ウイナーとして1年前のリベンジに挑む。【井上力心】

◆イズジョーノキセキ ▽父 エピファネイア▽母 キングダンサー(キングカメハメハ)▽牝5▽馬主 泉一郎▽調教師 石坂公一(栗東)▽生産者 沖田哲夫(北海道新ひだか町)▽戦績 21戦5勝▽総収得賞金 1億6224万2000円▽馬主名より+人名より+奇跡

◆親子調教師制覇 石坂公一調教師の父石坂正元調教師は08年ブルーメンブラット、11年イタリアンレッドで府中牝馬Sを勝っており、親子調教師による同一重賞勝利となった。