史上初となる5度目のJRA賞最優秀障害馬に輝いたオジュウチョウサン(牡12)の長山尚義オーナー(76)が19日、あらためて故郷の坂東牧場へ帰った愛馬、関係者への感謝を語った。

ラストランの中山大障害を終えたオジュウは昨年12月27日に美浦トレセンの和田正厩舎を退厩し、千葉県成田市の和田牧場へ。11日に和田牧場を出発し、12日に坂東牧場へ到着している。

長山オーナーは「坂東牧場へ無事に到着して、その映像を見させていただきました。メディアの方には出発や到着を取材していただき、テレビ東京さんも動画(土曜名馬座など)を配信してくれて、多くのファンの方が温かく見守ってくれて、本当にありがたく思っています。暫定的ということで、坂東牧場さんに預かっていただいていますが、今、坂東さんが一生懸命に種牡馬としてのオジュウチョウサンをバックアップしてくれていて、本当にありがたく思っています。坂東正積代表や先代の勝彦顧問、また、坂東牧場スタッフのみなさんには本当に感謝していますし、オジュウも生まれた牧場で、新しい環境で、元気に過ごしてくれればと思います」とうれしそうに話した。

初年度の種付け料は受胎条件で100万円に設定している。「種牡馬オジュウチョウサンをたくさんの方に応援していただいて、私も個人でオジュウのお嫁さんになる繁殖牝馬を用意したいと思っています。オジュウの競走成績を考慮して、100万円という設定にしました。私自身、クラブ法人の会員でこれまでに多くの馬に出資してきた立場から『オジュウの産駒が募集されたら出資したい』と思いますし、オジュウには常識を超えた夢とロマンがあると思っています。ぜひ、多くの方に出資していただけるように、クラブ法人でオジュウの産駒が募集されるようになってくれたら、と願っています」と思いを語った。

5度目のJRA賞受賞については「これ以上ない名誉ですね」と神妙に受け止めている。ラストランの中山大障害当日、レース後に行われた引退式のスピーチについては、当初は数分の持ち時間を言われていたものの、「しゃべりたいことがありすぎて、与えられた時間では足りないと思って少し焦ってしまいました。武豊騎手が有馬記念で騎乗してくれたことがどれだけ奇跡的だったのかを伝えようと思ったら、結果的に武豊騎手への思いばかりを話してしまった。反省しています。和田正師、石神騎手、長沼厩務員、厩舎や牧場のみなさん、お世話になった方々への感謝ももっと伝えなければいけなかったと思っています」と後悔交じりに振り返った。

「引退後も引退式や近況のオジュウの動画を見たファンの方が連絡やメッセージをくださいます。本当にありがたい。オジュウには坂東牧場でまずは元気に過ごしてもらって、それから種牡馬として、彼の血をつないでいってもらいたいなと思っています」。30日に都内で行われるJRA賞授賞式を、オジュウチョウサンにとって5度目の歴史的な日を、長山オーナーは楽しみに待っている。