単勝5番人気のメイショウタバル(牡、石橋)が2着馬を6馬身突き放し、圧勝した。坂井瑠星騎手(26=矢作)の手綱で積極的にハナを奪うと、重馬場でもペースを緩めず、逆に後続のスタミナを消耗させた。石橋守調教師(57)は開業11年目にして、うれしいJRA重賞初制覇。今後は、さらなる大舞台を目指すことになりそうだ。

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重馬場の中を逃げて、前半1000メートルは59秒6。一見、タフなペースだが、メイショウタバルにとってはマイペースだった。余力たっぷりに直線へ向き、再加速すると、後続はみるみる離れる。その差が6馬身まで開いたところがゴールだった。「ペースは気にしていなかった。非常に強い競馬だった」。強気な騎乗で勝利に導いた坂井騎手は能力を高く評価した。

不運にもめげなかった。本来は前週のスプリングSに出走予定だったが、左前脚のフレグモーネのため回避。石橋師はすぐに目標を切り替えた。「休ませたのは1日だけ。すぐ毎日杯を目指した」。それが重賞制覇につながった。「この馬の精神力には頭が下がる。若駒Sを競走除外(右前肢ハ行)になった後も、すぐにつばき賞を勝ってくれた」と愛馬に感謝した。

師にとってはこれがJRA重賞初制覇。武豊騎手とハグするなど多くの祝福を受けた。「なんとか勝てた。“メイショウさん”の馬で勝てたのも良かった」と松本好雄オーナーに感謝した。「騎手の時も重賞初制覇は遅かった」という師は、39歳だった06年にメイショウサムソンで皐月賞とダービーを勝ち、遅咲きの花を咲かせた。タバルもおそらくクラシックへ向かうことになるだろう。調教師としても大輪を咲かせるかもしれない。【岡本光男】

◆メイショウタバル▽父 ゴールドシップ▽母 メイショウツバクロ(フレンチデピュティ)▽牡3▽馬主 松本好雄▽調教師 石橋守(栗東)▽生産者 三嶋牧場(北海道浦河町)▽戦績 5戦3勝▽総獲得賞金 5941万7000円▽馬名の由来 冠名+熊本県の地名