【シャンティイ(フランス)5日=太田尚樹】初挑戦から30年で悲願成就だ! 競馬の世界最高峰、凱旋門賞(G1、芝2400メートル)は、きょう6日夜11時20分(日本時間)、パリロンシャン競馬場で発走する。94年から数えて11度目の挑戦となる武豊騎手(55)は、松島正昭オーナー所有のアイルランド調教馬アルリファー(牡4、J・オブライエン)に騎乗。日本人初の凱旋門賞ジョッキーへ、レジェンドが夢の扉をこじ開ける。
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30年来の夢をかなえる日がやってきた。日本が世界へ誇る武豊騎手が、11度目のトライを結実させる。初挑戦は94年。25歳から55歳になっても変わらないものがある。上体のぶれない騎乗姿勢の美しさと、瞳に宿る輝きだ。
「昔は『夢』という感覚だったけど、今は『目標』という方がしっくりくる。『夢』だと遠い感じなので。チャンスはあると思うし、機は熟しすぎている。楽しみ。55歳にもなってワクワクできるのはありがたい。騎手として最高のモチベーションになる」
どうすれば勝てるのか。1920年の創設から、欧州調教馬以外に勝利を許していない伝統の一戦。あのディープインパクトでさえ後塵(こうじん)を拝した。敗戦と屈辱を重ね、友人でもある松島正昭オーナーの支えで用意された新たなトライが、欧州馬への騎乗だ。世界最強の競走馬事業組織クールモアの生産馬で世界一に挑む。今年のパートナーは松島オーナーが共同所有権を持つG1・2勝馬アルリファー。先週24日に日本の競馬の合間を縫ってアイルランドへ飛び、背中の感触を確かめた。
「おとなしくて乗りやすそうな馬。体調も良さそう。いい感じ。ありがたいし、応えたい気持ちが強い」
30年前の初騎乗では、前年2着の英国馬ホワイトマズルで6着に敗れ、批判の声も聞いた。当時には「日本で競馬なんてやってるのか?」とからかわれたこともあるという。
武豊騎手 初めての時はよく分かっていなかった。その時と今では違う。今は30年の経験があるので。
50代に見えない顔つきにも、さすがに笑えば小じわができる。そんな時の流れとともに、キャリアも積んできた。アレ(行け)! ユタカ! 勝者だけが乗れる馬車の上で、最高のスマイルを見せてほしい。

