越つかの酒造/阿賀野市
4年前からこの蔵の杜氏を務める田中良一さん

 昨年の居酒屋甲子園で優勝した新潟市の一家(いちや)グループ。この店のプライベートブランドが、越つかの酒造の代表銘柄「越乃あじわい」純米酒の、市販されていない生原酒だ。「うちの酒はあまり多くの店には置いてないですね」という井口治社長にきっかけを聞いた。

 「数年前の『にいがた酒の陣』のあと、県外からのお客さまと飛び込みで入ったのがこの店でした。名刺を置いて帰ったら、翌年の酒の陣でうちのブースに『来ましたよ~』と数人で顔を出してくれて」。話が盛り上がり、何か面白い取り組みを、ということでプライベートブランドが形になったという。

 一家のほかに新潟市内のすし店数店でも、この蔵の酒を定番にしている。酒の種類はさまざまだが、三年古酒の「超特撰 オールド代々泉」を長く扱っているすし店もある。この古酒が今回の1本だ。兵庫県産山田錦を40%まで磨いて醸した大吟醸酒をベースとしている。

 古酒とすしが合うのかという疑問に対し、田中良一杜氏は「ベースがしっかりしているので、蔵で常温貯蔵することで上品な香りとまろやかでソフトな味になります。香りと味が完全に1つになるんです」ときれいな味わいの古酒であることを説明してくれた。冷やしすぎず、常温がベストとのこと。

 おいしさの秘密は水にもある。上越市柿崎の出身で吉川高校醸造科卒業後、県内外の酒蔵で経験を積んできたベテランの田中杜氏は、この蔵の水道水のおいしさは誇れるという。「阿賀野川水系の水はいい。恵まれています」。

 土地の恵みを生かし、蔵人が丹精込めて造った酒のおいしさを消費者に伝える大きな役割を担うのが飲食店だ。広く浅くではなく、狭く深く付き合いながら、飲食店とともに、これからもおいしさを伝えていく。【高橋真理子】

[2017年9月23日付 日刊スポーツ新潟版掲載]