近本という選手は、打撃の調子が悪くても、試合における貢献度は高い。四球や走者入れ替わりでの盗塁、守備範囲の広さなど、そういうことができるのでレギュラーの座にある。中日の先発が左投手ということで、ベンチスタートになったが、試合で使いながら、調子を上げさせないといけない。

最近の近本の打席を見ていると、最初から2ストライクに追い込まれているように見える。結果を残せないことで、思い切りが足りず、大事にボールをとらえようとし過ぎている。その結果、必要以上にボールを呼び込み、打つポイントが体に近くなっている。心理的なものが影響を及ぼしている。試合までの準備としては、バットのヘッドを最短距離で振り抜くことや下半身主導など原点に立ち返ることが必要だが、試合では、やはり開き直りが重要だ。2ストライクまでは、自分がベストスイングできる球に狙いを絞る。その結果が空振りやファウルでもいい。腹を決めることだ。

そういう点では、大野雄との対決を見たかった。左バッターは左投手との対戦で、打撃が良くなることがある。特にエース格が相手の時は、ある程度、狙い球を決めないと打てない。開き直っていけるからだ。この試合で先発していれば、浮上のきっかけをつかんでいたかもしれない。

今後は近本を2番に戻す手もある。攻撃的な2番がはやりではあるが、自由に打たせないといけないわけではない。送りバントやエンドランの指示を与えてもいい。好調の糸原を1番に置き、2番近本とのコンビはどうだろう。チーム状況もいいだけに、今のうちに復調を促したい。真のレギュラーへと育っていくためには、ここを乗り越えないといけない。

阪神対中日 9回表中日1死、阿部の打球を前に出て捕球する中堅手近本(撮影・清水貴仁)
阪神対中日 9回表中日1死、阿部の打球を前に出て捕球する中堅手近本(撮影・清水貴仁)