このサヨナラ勝ちが再び阪神を勢いづかせるきっかけになるかもしれない。

巨人に負け越した後の下位チームとの戦いだっただけにとりこぼすわけにはいかなかった。

ここにきて得点力が下がっているが、気になっていたのは積極的な盗塁の姿勢があまり見受けれなくなっていたことだ。少なくとも4、5、6、7回にスタートを切らせてもいい場面があった。

DeNA大貫が阪神戦に先発した前回もみているが投球モーションを含めて走れないタイプではないと思っていた。だから1点ビハインドの4回2死から右前打で出塁した梅野には果敢にスタートを切らせても良かった。

また5回1死一塁の場面では走者の近本がスタートし、糸原が初球を打って遊ゴロになった。エンドランのサインだったかどうか定かではないが、近本に単独で盗塁を狙わせ、糸原で勝負にいく手もあった。

6回はツーアウトで一塁走者になったロハスに代走を送って揺さぶる作戦もあった。また続く7回に中前打で出塁した中野も、DeNAエスコバ-だったら二塁を陥れる足があるはずだった。

リーグ戦再開後は苦戦しているが、いつも打ち勝てるゲームばかりではない。開幕から好調を保った時期には積極な走塁が目立ったし、実際に点につながっていた。チームが得点力を上げていくには機動力も必要になってくる。

(日刊スポーツ評論家)

阪神対DeNA 9回裏阪神2死一、三塁、マルテの同点適時打にガッツポーズをみせる矢野監督(撮影・清水貴仁)
阪神対DeNA 9回裏阪神2死一、三塁、マルテの同点適時打にガッツポーズをみせる矢野監督(撮影・清水貴仁)