阪神が首位から陥落し、3位まで落ちた。85年日本一の守護神で日刊スポーツ評論家の中西清起氏(59)は巻き返し策として、先発ローテへの再編と、米国への一時帰国後2軍調整が続くジェフリー・マルテ内野手(30)の3番起用を提言。今週末にライバル巨人3連戦も控える中、チームの立て直しが急務と指摘した。【取材・構成=田口真一郎】

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言うまでもなく、下位の広島を相手に3連敗は痛い。3位に転落したが、現状を見る限り、相手どうこうよりも、まずは戦う態勢を整えることが先決ではないか。この3連戦では、前日に大山、この日は佐藤輝をスタメンから外した。代役として5番に置いたのが糸原だが、状態が悪くてベンチスタートになっていた選手だ。結果が出なければ、動かなければならないのも分かるが、首脳陣に一貫性がないと言わざるを得ない。

先発ローテーションを見ても、疑問を感じる。今は青柳、伊藤将、ガンケル、秋山が柱だが、9月3日からの巨人戦は日曜日に投げている秋山だけが計算できる。不安の残る西勇に、二保とルーキー村上が投げた谷間の枠で巨人戦を迎えるのは、あまりにも厳しい。青柳の登板をズラしながら、巨人戦にぶつけるような戦略があってもいいのではないか。

後半戦が始まる前にも言ったが、一番は大山の復調がキーポイント。そして次のポイントはマルテだろう。前半戦の快進撃を引っ張ってきたのは、マルテとサンズだ。首脳陣が大山を外すというやり方をするなら、マルテをサードに埋め込むことも必要。寝違えでさらに調整が遅れたが、合流すれば3番に置くべきだ。選球眼がよく出塁率が高い。その場合は、外国人枠の都合でアルカンタラを外さなければならないが、及川が打たれたようにリリーフ陣にも問題はある。それを考慮してもマルテは起用しなければダメだろう。

今のチームは大山、佐藤輝の状態で悩み、マルテ、サンズ、ロハスといった外国人枠でも決断しなければならない。さらに巨人戦の先発陣をどうするのか。3位に落ちたことで順位が気になるのも無理はないが、相手がどうこうという状況ではなくなった。素早くチームを立て直すことが何よりも重要だ。

◆阪神外国人事情 阪神には今季NPB最多で球団史上でも最多となる外国人8人が在籍。現在1軍には守護神スアレス、後半戦から中継ぎの一角を担うアルカンタラ、野手はサンズ、ロハスの4人が登録されている。外国人選手の1軍登録数は5人だが、ベンチ入りは4人まで。前半戦「不動の3番」として活躍したマルテは、寝違えによる首痛もあったがこの日実戦復帰して2安打。昇格準備を進めている。エドワーズとチェンも控えており、激しいバトルが続いている。