阪神にとって岩崎までが打たれての同一カード3連敗はダメージが大きい。8回1死から、2番小園に右越え本塁打を浴びた。

中西 阪神ベンチは岩崎を投入して最善を尽くした。前日29日は1点ビハインドの8回に岩貞のリリーフが裏目に出た。この日の岩崎が、前日に青柳が被弾していた小園に打ち込まれたのは、手は打ったのだから仕方がない。重苦しいのは得点力が上がってこないからで、7回も同点に追いつくのがやっとだった。

1点を追う7回、先頭の梅野が右前打で出塁するが、続く近本が3ボール2ストライクからの一ゴロで二封された。中野の遊ゴロで2死二塁になって、マルテの左前適時打で同点になった。

中西 近本の打球が一塁に転がった瞬間、阪神ベンチは一塁走者の梅野にスタートを切らせていなかった。好調をキープする近本は空振りも少ないタイプだから、カウントが3-2なので梅野がスタートしていれば二塁封殺を避けることができたはずだ。1死二塁のシチュエーションをつくっていれば、雰囲気は変わっていただろう。あそこは梅野を動かすべきだったし、阪神ベンチの策は思い切りを欠いて消極的に映った。

8日からのヤクルト3連戦までに、下位の中日、DeNAと対戦する6戦で得点力を上げたい。

中西 サンズ、佐藤輝らが上がってこないと苦しい。これが春先なら「そのうち打ってくれるだろう」と我慢もするが、もはやそんな時期ではない。いかに調子を見極めながら起用できるか。9回は1点負けていても、スアレス投入でも良かった。投手コーチで仕えた岡田監督は、リードされていても守護神をつぎ込んで刺激を与えた。スアレスを温存しても、明日使える保証はない。打てない野手に「なんとかせんかい!」という無言のメッセージだ。“明日なき戦い”をしていく時がきている。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対広島 広島に連敗し肩を落とす矢野燿大監督(左から2人目)(撮影・上田博志)
阪神対広島 広島に連敗し肩を落とす矢野燿大監督(左から2人目)(撮影・上田博志)