ソフトバンクから阪神に新加入した育成左腕の渡辺雄大は、支配下登録を勝ち取るだけの内容と結果を出している。左打者へのワンポイントかと思ったら、右打者もしっかり抑えて1イニング全うできる力を見せている。キャンプ実戦の4試合を4回3安打無失点で終え、いつ支配下になってもおかしくない存在感を出している。

変速の左、しかも185センチの長身というだけでもレアな特長だ。真っすぐは130キロ台だけど、シュート系のシンカーとスライダーを効果的に使っている。左打者には、シンカーでしっかり懐を突けているし、スライダーは上背があるから背中から来て、大きく外に逃げていく軌道で捉えづらい。右打者には、スライダーがクロスファイアになって切れ込み、外に逃げるシンカーで芯を外している。

左の中継ぎは守護神候補の岩崎を筆頭に岩貞、及川、先発でもいける桐敷と計算の立ちそうな選手が多い。だが、右は小野が少し出ている感じはあるが、馬場、小川、浜地、石井、村上、湯浅ら全員が決め手を欠いている。もし渡辺が右打者相手でもいけるとなれば、非常に面白い存在だけに課題が少し軽減されるかもしれない。主力が出てくるオープン戦でどれだけ通用するかを楽しみにしたい。

先発候補は青柳、ガンケル、秋山、西勇、伊藤将が順調で、藤浪もかなり良くなっている。やはり課題は右の中継ぎで、安芸のブルペンで小気味いい投球をしていたドラフト5位新人の岡留に期待したいぐらい。先発が頑張っても2番手以降が失点を重ねる展開になると勝ちが計算できない。この時期でも決まらないのはチャンスなのだから、若手は目の色を変えてほしい。(日刊スポーツ評論家)


ソフトバンクから加入の育成渡辺雄大が、1軍キャンプで存在感を示した。貴重なサイドハンドの左腕として、実戦では4試合4イニングで無失点と力投。投球時には毎回「ヨイショ!」と声を発する“絶叫系左腕”が、支配下選手登録、そして開幕1軍入りへ、勝負のオープン戦に挑む。

中日対阪神 8回裏中日2死、京田の打球をジャンプして捕球する阪神渡辺雄大(22年2月26日撮影)
中日対阪神 8回裏中日2死、京田の打球をジャンプして捕球する阪神渡辺雄大(22年2月26日撮影)