ヤクルト打線からは粘りが感じられなくなった。それはチームの“焦り”とも言えるかもしれない。ここにきて3連敗を喫した結果だけをみて論じているのではない。それは逆にオリックス投手陣がヤクルトにプレッシャーをかけ続けている証拠だろう。
オリックスは先発山崎福が5回を無失点で抑えると、続く6回から宇田川を投入。レギュラーシーズンから早い継投をする傾向の強い中嶋監督だが、このCS、日本シリーズでは、さらに早めの継投を意識しているようにみえる。
第5戦(27日)は宇田川、山崎颯をブルペンから外した。第4戦に宇田川を1回3分の2、山崎颯に2回を投げさせたからだろうが、負ければ王手をかけられる一戦では考えにくい。これも裏を返せば、残りのメンバーで勝負できるという手応えだったのかもしれない。
つまりオリックスは「ピッチャーで攻める」といった戦略で、ヤクルトを追い詰めた。それが中嶋監督のリリーフの人選だったし、早いタイミングでの継投だった。なかなか得点力は上がってこないが、特にリリーフ陣でここまで巻き返してきた。
オリックスは6回2死一、二塁、杉本が小川から右前適時打で先取点を上げる。この場面ではヤクルトの捕手中村に珍しく“迷い”をみた。初球を外して一塁にけん制するサインプレーをみせたのは状況的に考えにくいシチュエーションだったからだ。
この1球がボールの無駄球になって、2ボール1ストライクからの4球目ストレートを右に弾き返される。先に追い込んでいけば、杉本に右狙いの打撃をさせることはなかった。わたしには攻めのリードを続けた中村が、珍しく守りに入った瞬間にみえた。(日刊スポーツ評論家)




