なりふり構わない必死の戦いを見せていた巨人だが、最後の最後に力尽きてしまった。よく戦ったとは思うが、試合を振り返れば悔やまれるプレーばかりが思い起こされる。初回に5点を先制しながらその裏に同点にされ、延長戦で1点を勝ち越した後、2アウトになってからの逆転負け。今季の巨人を象徴する試合になってしまった。
開幕投手を任されながら、今季は8勝9敗だった戸郷翔征投手(25)が先発だった。佐野に2ランを打たれたまでは許容範囲だが、続く筒香に四球を与えてしまい、2死一、二塁から石上に3ラン。カウント2-2に追い込んでから外角150キロの真っすぐを左翼ポール際に流し打たれた1発だった。無駄な四球と力のない真っすぐが痛恨の同点弾を招いてしまった。
やはり投球フォームの見直しが必要。軸足に力がたまらず、トップを作った時点で右肩が上がってしまっている。これだと左肩の開きが早くなり、上半身投げになってしまう。シーズン中から指摘させてもらっているが、修正できないままだった。
それと気になったのが、リチャード内野手(26)、若林楽人外野手(27)、田中瑛斗投手(26)の移籍組の選手が見せた隙だった。リチャードは8回無死一塁からのけん制球をスルーしてしまった。記録は大勢の悪送球で、確かにすっぽ抜け気味の球だった。しかし、状況的にけん制球を投げる場面であり、しっかり反応していれば捕れていた。ボーンヘッド以外の何物でもないだろう。得点には結び付かなかったが、マルティネスが前倒しで登板する痛手となった。
1点を勝ち越した直後の若林の打撃内容もひどかった。延長11回1死満塁のカウント1-2からワンバウンドする低めのチェンジアップを空振り三振。三振をケアして逆方向を狙うとか、食らい付いていこうとかの意識は感じなかった。
イニングまたぎとなった田中瑛も2死一塁から一塁走者をノーマークにして盗塁された。同点の走者とはいえ、引き分けならCSは敗退。盗塁した石上がよく走ったとも言えるが、けん制球を挟んでいれば走れなかったと思う。今季はよく投げていたし、この試合もイニングまたぎだった。責めるつもりはないが、悔やまれる場面だった。
戸郷はもう1度、投球フォームを見直し、エースとしての実力を取り戻してほしい。この試合の内容だと、野手との信頼関係も崩れてしまう。そしてリチャード、若林、田中瑛は他球団から移籍してきた選手。なぜ、古巣にいたチームから移籍することになったのかをもう1度考え、今試合で出てしまった隙を出さないようなプレーを心がけてほしい。それが巻き返しを図るチームのレベルアップにつながると思っている。(日刊スポーツ評論家)




