横須賀にある2軍施設で、吹っ切れたように快音を鳴らせ続けた。DeNA網谷圭将内野手(21)が、育成契約3年目を終え、今季限りでの退団が決まった。「技術的にも、精神的にもつらいときはあったが、終わってみて、自分の中で身になっていることがたくさんある」。まだ21歳。気落ちする様子はない。現役続行するために、毎日振り込んでいる。

戦力外通告後、1本の電話がモヤモヤした気持ちを吹っ切れさせた。

14日、練習を終えると、知らない番号から電話がかかってきた。「元気? 大丈夫?」。相手が分からず、曖昧に答えていると「ラミちゃんです」。ラミレス監督だった。電話したことも、番号を交換したこともない。「まさか監督から電話がかかってくるとは…」。ただただ驚いた。昨年春季キャンプ、育成ながら異例の1軍スタート。「網谷のバットコントロールは素晴らしい」と、誰よりも評価をしてくれていたのが、ラミレス監督。夫人に通訳してもらいながらサプライズエールをもらった。

通告を受けた後、東京6大学野球を見に神宮球場に向かった。同世代がどんな野球をしているのか、どんな顔で取り組んでいるのか、自分の目で見て確かめたかった。1軍での出場は1度もなく、育成契約のまま終えた。でもハッキリと言える。「プロで3年間過ごしてきて、クビになったけど、この道に後悔はない」。プロに挑み続けた3年間を終え、また新たな挑戦に向かおうとしている。

◆網谷圭将(あみや・けいしょう)1997年(平9)10月3日、千葉県生まれ。千葉英和では2年秋から捕手に転向。高校通算35本塁打。15年育成ドラフト1位でDeNA入団。今季は2軍で62試合に出場して128打数26安打、4本塁打、11打点、打率2割3厘。184センチ、84キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸360万円。