DeNA新体制の船出はドラフトだった。1巡目に指名した報徳学園・小園海斗内野手を抽選で外すと、2巡目の東洋大・上茶谷大河投手もヤクルトとの競合になった。くじ引き役は退任した高田繁GMに代わって三原一晃球団代表。壇上に立ち緊張の面持ちで、最初にクジを引き見事に交渉権を獲得した。編成トップのバトンを受けた“初仕事”。大役を果たせた訳は、三原代表なりの狙いがあった。

高校生3人に11球団が競合する史上初のドラフト。熱気漂う抽選合戦を冷静な視点で見ていた。「流れ的に残り物に福があるように見えたんだよ。だから、(抽選箱に)後に置いた方を選んだんだ。ポン、ポンと置いた後の方をね」。確かに、小園は広島、3球団競合の大阪桐蔭・藤原恭大外野手はロッテ、いずれも最後に引いた球団が交渉権獲得。ただ、4球団で争った大阪桐蔭・根尾昂内野手は最初に引いた中日、そして外れ1位の立命大・辰己涼介外野手も3球団で最初の楽天が“一番福”で引き当てた。

残り福か一番福か、4度の抽選を見る限り勝率は5割だった。ただ、残り福の流れを感じ取り、先手を打った同代表に、最終的には福が舞い降りたのだ。一夜明けた翌日、交渉権カードを手にした三原代表は「まだカードを持つと手が震えるよ」と、興奮冷めやらぬ様子。そんなありがたい幸運のカードは、上茶谷に指名あいさつした際、DeNAの未来とともに託した。【DeNA担当 栗田成芳】