新調グラブとともにマウンドへ向かう。巻き返しの19年シーズンに向け、阪神石崎剛投手(28)が、今季からザナックス社のグラブを使用する。プロ選手が道具を変更することは非常に勇気のいることだが、石崎には「心機一転」の思いが強かった。

その背景には、憧れの藤川球児投手(38)の存在がある。現在2人は沖縄・宜野座村で自主トレを行っている。15日には、報道陣に練習風景を公開。キャッチボールで藤川が投じる、その先にはザナックス社の新調グラブを使用する石崎の姿があった。グラブの基本の形は同じで、色は同じキャラメルブラウン。憧れの存在をまねするのには理由がある。

「去年の自主トレで、自分のできること、できないことを明確に言っていただいた。(昨年は)ケガもありましたけど、今年になって『1歩成長したな』と言ってもらえて、すごくうれしかった。1つずつ成長していきたい」

昨季は春先に侍ジャパンにも選出された。首脳陣から期待されて、迎えたシーズン。しかし右肘の故障もあり、12試合の登板にとどまった。「いい流れはあったんですけど、去年どうしてもつかみ切れなくて。右肘もダメにしてしまって…。またイチからだと思いますね」。今季は心機一転で「相棒」を変更した。

「現実的には敗戦処理から。また下積み段階で、そこから結果を残していかないと。それが目の前の目標なので。結果で信頼度をつかんでいきたい」

藤川との自主トレで学ぶものは野球の技術だけではない。

「食事であったり、車の中での会話であったり…。本当に全てが野球につながっている」

今季、藤川は守護神への再挑戦を明言。セットアッパーの椅子が1席空く可能性がある。「結果が全てだと思うので。まずは、結果にこだわってやっていきたい」と言葉に自然と力がこもった。憧れの右腕の背中を追い、「勝利の方程式」を目指す。【阪神担当=真柴健】