「広大、あの角度や!あの角度!」

阪神ドラフト2位の井上広大外野手(19)がホームランを放つと、平田勝男2軍監督(61)は試合後に決まってそう言う。「ホームランは彼の魅力なんだから。それを消さないようにしないといかんわな」。井上がどれだけ三振に倒れても「それは関係ない。今はどれだけ三振したっていいんだよ」ときっぱり言う。逆に「井上君は三振が…」と質問をした記者が「三振を恐れて何ができるんだ。それで振らなくなるほうがダメやろ」と怒られるくらいだ。

高卒1年目の19歳を平田監督は出場した全試合4番で使い続けている。1軍の選手が「親子ゲーム」で2軍戦に出場する時でも、4番は井上だった。現在ウエスタン・リーグで7本塁打はリーグトップタイ、30打点はリーグ2位タイ。「広大には勝負強さというものを教育していかないといけない。まだまだ、まだまだだけど、少しずつその勝負強さが出てきたかな」。まるでわが子のように期待を寄せられる井上も応えようと必死にプレーしている。

ドラフト1位の西純、3位及川、4位遠藤、5位藤田、育成ドラフトの1位小野寺、2位奥山。今季のルーキー8人のうち7人を育てる日々だ。「若返るわな。今は失敗してもいい。そのために経験させてるんだから」。平田監督は将来のスターたちを丁寧に磨き続けている。【阪神担当=只松憲】