シーズン前からある数字に注目している。日本野球機構(NPB)の公式ホームページに成績・記録のページがある。そこに打率【通算記録】の上位40選手が記されている。通算打率は4000打数に達していることが条件。つまり少なくとも10年近くはバリバリで活躍しないと、その対象にすらならない。

超一流選手が居並ぶ通算打率ランキングだが、そこに阪神では現役選手でただ1人、糸井の名前がある。通算5667打数1700安打で打率は2割9分9厘9毛8糸。25位に位置づけられている。実は開幕前には3割台だったが、8日DeNA戦(横浜)で9回に代打出場し、中飛に倒れたことで通算打率3割を切った。

NPBの2000安打達成者は53人いるが、通算3割打者となれば、現時点でわずか24人しかいない。25位の糸井に続くのは26位藤村富美男、27位榎本喜八、28位加藤英司…。球史を彩ったレジェンドたちも3割には達していない。通算打率3割はそれだけすごい数字である。

糸井はシーズン33試合目となった7日DeNA戦(横浜)で今季初めてスタメン出場し、14年連続となる本塁打をマークした。試合後はプロフェッショナルらしく「いつ、どういう状況でも、僕らは自分にできる最高の準備をするだけ」とコメントを残した。若さが注目される今季のタイガースだが、希代のバッターを忘れてはいけない。通算3割への挑戦を見届けたい。【阪神担当=桝井聡】