野球の国から

「俺か、俺以外か。ローランドという生き方」を読む

<野球を読もう(5)>

令和2年1月1日。新年早々でも、品川駅は人でごった返していた。目的地は「アクアパーク品川」。なぜか? ローランドだ。

ホスト界の帝王・ローランドとコラボレーションしたアクアパーク品川に展示されている水槽
ホスト界の帝王・ローランドとコラボレーションしたアクアパーク品川に展示されている水槽

ホスト界の帝王が、水族館と異例のコラボをしていると耳にした。会場に入ると早速、圧倒された。バラの花びらが散る壁。「『アクアパーク』か、『アクアパーク』以外か」と記され、思わず心の中で「アクアパーク」とつぶやく自分がそこにいた。

ブラックライトの中で、妖艶な光沢を放つ水槽。ここはホストクラブか。水槽のバックパネル部分には「ローランド語録」ならぬ「ローランド魚録」が胸を張っている。「オスか、オス以外か」。名言をバックに、気持ち良さそうに泳ぐ魚の群れ。共存共栄、はたまたローランドに泳がされているのか-。私は言葉を目で追うばかり。魚だけではない。ローランドに泳がされていた。

ローランドの著書「俺か、俺以外か。 ローランドという生き方」
ローランドの著書「俺か、俺以外か。 ローランドという生き方」

同氏の著書「俺か、俺以外か。 ローランドという生き方」(KADOKAWA)を読んだ。正直言って書評は荷が重い案件だったが、同時にうれしい悩みでもあった。

以前からファンだった。ブロンドの長髪に、美白の肌。最高月額売り上げ6000万円をたたき出す一方で、名門・帝京高サッカー部出身。しかも昨年担当していたDeNAのクローザー山崎康晃と同学年で友人という異例の経歴に興味を抱いていた。

読み進めていくと、彼の言葉はプロ野球の世界に通じることが多くあった。

「先の見えない人生が怖いって? 俺は先が見えてしまった人生のほうがよっぽど怖いね!」。幾人ものプロ野球選手も、自身の力で切り開くと信じ、海千山千の世界に入ってきた。ローランドは言う。「なにが起こるか、分からないのが人生だし、自分の力でどれだけでものし上がれるって、素晴らしいじゃないか」。成功した今でも先は見えてないという。「眩しすぎるからさ!」と。

ぶっ飛んだ言葉の使い方だけではない。人間くさい男の息吹が、この本には詰まっている。結びの「最近、胸キュンしたことは?」との問いに「妹が久しぶりに電話してきてくれた!」とほほえましいエピソードを添えた。本の収益は半分はカンボジアの子どもたちへ、もう半分は日本の復興のために、全額を寄付するという。本の発売日は3月11日。日本が悲しみに暮れた年にホストを始めた。

「100人が100人ダメと言っても、その100人全員が間違えているかもしれないじゃないか」。己を貫き、価値観をぶれさせなかった男。プロ野球も自分を信じ、ダメだと言うその100人に成功を証明する世界だ。誰々タイプ、誰流、誰かと同じでは、真の成功者とは言えない。

「俺か、俺以外か」。どの世界も、一流は常にオンリーワンの存在。私が日々、目の当たりにしている風景とローランドの見る景色はシンクロしていた。気になって仕方がない理由が分かった。【栗田尚樹】

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