野球は「記録のスポーツ」と言われる。コロナ禍では球場に足を運べる人は限られるし、声援も控えなければならない。ならば自宅の楽しみ方として、スコアブックを付けながらテレビ観戦はどうだろうか。NPBの山川誠二記録員に助言をいただきながら、スコアについて学んでいきたい。

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スコアブックを付ける前に、これだけは覚えておきたい。守備位置に対応する数字がある。

1=投手、2=捕手、3=一塁手、4=二塁手、5=三塁手、6=遊撃手、7=左翼手、8=中堅手、9=右翼手。指名打者がいる時はDHと記す。

同様にベースはアルファベットで表す。

A=一塁、B=二塁、C=三塁、H=本塁。

打者がアウトになる場合で見ていこう。

右飛は「9」。邪飛ならファウルゾーンで捕球したと分かるように「9F」と付けると分かりやすい(右飛を9F、右邪飛を9FFと書く場合もある)。

二塁手がゴロをさばき、一塁に送球した場合は「43」となる。同じ一ゴロでも、一塁手がそのままベースを踏めば「3A」、投手が一塁カバーに入れば「31A」。遊→二→一の併殺は「643」の「DP」(ダブルプレー)となる。

NPB山川記録員 大切なのはボールから目を離さないことです。インプレー中はボール、守備者、走者を同時に見る。プレーが途切れるまではボールから目を離さず、投手にボールが戻ってから記入します。

中継プレーでは誰が捕ってどこに投げたか、分からなくなることもある。

山川記録員 そんな時は、ボールを扱った野手を声に出して追いかけるといいでしょう。左中間の打球でバックホームがあれば「ハチ(中堅)、ロク(遊撃)、ニ(捕手)」と声に出して書いています。

この打球の動きにアウトカウント(1、2、3)を記していく。三振は慶応式ではSO(ストライクアウト)だが、早稲田式は「K」と書く場合が多い。見逃しか空振りか分かるようにするとよい。空振り三振をSO(スイングアウト)と書いて区別する人もいる。

打者が出塁する場合、四球=B(慶応式はBB)、死球=DB(同じくD)を用いる。安打は枠内をダイヤモンドに見立て、進んだ分だけ線で囲む。盗塁はS(スチール)、敵失はE(エラー)。生還したら中央に●を付け、残塁ならl(小文字のエル)を書く。

この他にもWP(ワイルドピッチ=暴投)やPB(パスボール=捕逸)、◇(犠打)やFC(フィールダースチョイス=野選)などの記号がある。

途中出場は代打=PH、代走=PR。守備固めもあるので、8回表からの交代なら「8オ」など、いつから出たのか分かるようにメモしておこう。

枠の左側にはボールカウントを付ける。野球記者はここに球速と球種も加える。球種は頭文字で書く人もいるし、球筋の変化を矢印で書く人もいる。それぞれが自分用に工夫している。

「難しいプレーがあった時は、記号で表記せず、雑記欄に言葉で記入した方が結果的に分かりやすくなります」(山川記録員)。個人で楽しむならば自分が分かればいい。あまり難しく考えずに、1度スコアブックを手にしてみてはいかがでしょうか。【鎌田良美】

(この項おわり)