一塁側なのか、三塁側なのか? ピッチャーは投手板(幅約61センチ)のどちらを踏んで投げた方がいいのか-。プロ通算165勝、野球評論家の西本聖氏に聞いた。
-西本さんは現役時代、どちら側を踏んで投げたのか
西本氏 僕は右投手なので三塁側を踏んで投げた。右投手は三塁側、左投手は一塁側を踏むのが一般的。
-それはなぜか
西本氏 投手にとって一番いいボールは外角低めのストレート。困ったらアウトロー。これが基本だと思う。三塁側を踏んで投げればホームベースが広く使える。外角のストライクゾーンを広く見せるための幅が広く使えてボールゾーンへ投げることができる。
-一塁側を踏むと?
西本氏 使える幅が狭くなる。体の開きも早くなり、外を狙ったボールがシュート回転して抜けやすくなり内に入ってくることが多くなる。さらに打者と正対しやすくなり、ボールが見えやすくなる。投手というのは打者の嫌がることをしなければいけない。打者は受け身。右打者にとっては一塁側を踏んで投げられるより三塁側を踏んだ方が嫌なはず。
西本氏は先週行われた全日本大学野球選手権を現地及びテレビで観戦。
-ドラフト上位候補の明大・柳裕也投手(右投げ、4年=横浜)は一塁側を踏んでいた
西本氏 140キロ台後半のストレートと大きなカーブを投げていた。一塁側を踏んでいるので時々、抜けるのが気になった。「三塁側を踏んだ方がいいのでは」と思った。三塁側を踏めばあの大きなカーブがもっと前でリリースできる。まだ伸びしろがある投手だし、三塁側も踏んで投げてみてほしい。
9日に行われた大学選手権の準々決勝4試合。8校で計28人の投手(右17、左11)が登板した。右腕で三塁側を踏んで投げた投手は13人、左腕で一塁側を踏んで投げた投手は10人(1人は左打者の時は三塁側、右打者の時は一塁側)。
-西本氏 東海大北海道の山根大幸投手(4年=花巻東、右投げ)が気になった。大型のサイドハンドで三塁側を踏んで投げていた。右打者に対し左肩を向ける時間がもう少しだけ長くできればいい投手になるポイントになる。斎藤雅樹(元巨人のエース)みたいな。今でも右打者の腰が一瞬引けているし外角へのスライダーが素晴らしい。
-メジャーではヤンキース田中将大投手(右腕)も今季途中から一塁側を踏んで投げている
西本氏 一塁側を踏むには何か理由があるのだろう。ツーシームを生かすためなのかもしれないが、逆に他の球種も抜けやすくなる。メリット、デメリットがある。それとやはり肘の不安があるのだと思う。腕が振れていない。体を守ろうという本能がそうさせているのではないか。一塁側を踏んで投げることがダメだとは言わない。ただ高度な技術が必要なことは間違いない。



