田村藤夫のファームリポート

楽天ドラ7水上、余裕ある佇まいに期待感/田村藤夫

<ファームリポート>

返球を捕る水上桂(2020年3月28日撮影)
返球を捕る水上桂(2020年3月28日撮影)

<イースタン・リーグ:巨人2-2楽天>◇20日◇ジャイアンツ球場

ソフトバンク、阪神、中日で2軍バッテリーコーチを務めた日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(60)が、20日の巨人-楽天戦(ジャイアンツ球場)を取材し、楽天の高卒ルーキー、ドラフト7位水上桂捕手(19=明石商)の現状をリポートする。

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水上のポテンシャルを感じさせたのは2回無死一、二塁だった。カウント2ボールから、打者はバントの構えからストライクを見逃す。二塁走者の香月が飛び出すと、水上は冷静に二塁に送球してアウトにした。

こうした状況で、打者が空振りをして飛び出した二塁走者をアウトにすることはあるが、見逃した場面でも、しっかり走者を見て二塁に送球をしていた。送球はショートバウンドになったが、捕球から送球までなかなか素早い動き。全体的に、水上の動きは良かった。

試合の中で水上の動きを追っていて感じたことがある。投球を受けてから、ボールを投手に返す一連の姿にやわらかさを感じた。ボールを受け、投手に投げ返すだけの動作だが、そこに落ち着きというか、余裕、遊びを感じる。周りが良く見えているんだろうな、そう思わせるものがある。

この試合で、巨人は同じく高卒ルーキーの山瀬慎之助(19=星稜)がマスクをかぶっていた。その山瀬は、一生懸命に返球していて、これも好感が持てる。それに対して、水上はもうプロで何年もやっているように映る。同じ投手への返球という動作からも、そんな空気感の違いを受けるから不思議なものだ。

水上の課題が見えたのは3回と4回だった。3回は2死一塁。ここで左腕渡辺佑は右打者を追い込んからフォーク。水上は真ん中に構えていたが、投球はひっかかったようで、右打者の足元へ。水上は止めにいくも、ボールは水上の左横へそれた。後の処理は素早く良かったが、一塁走者は二塁へ。水上は送球できなかった。

4回も同様にひっかかったフォークが右打者の足元へ。この時は、はじいた距離が短く、一塁走者は走ろうとして止まり、水上が一塁へ送球してアウトにしている。

左投手の、変化球が指にかかり過ぎた右打者の足元への投球は、捕手は左ヒザを地面に突いてまっすぐ受け止めにいくと、左横へそれてしまう。大切なのは、左肩から左腰にかけた左サイドを、斜めに入れる意識で止めにいくと、ボールは捕手の前に落ちる。

感覚としてはプロテクターを少し斜めに入れるようなイメージ。これは基本的な動きで、これが試合中のとっさの時にできるようになると、投手もさらに思いきって投げられるようになるし、前にはじけば走者も簡単に進塁できなくなる。この点は、コーチから学び、日々の練習で体に染みこませ、試合中に反射的にできるように訓練してほしい。

なお、山瀬の見せ場もあった。4回1死一塁でカウント3-2。フルカウントのため走者は自動的にスタートを切る。打者は空振り三振、山瀬は一塁走者を余裕で二塁でアウトにしている。相変わらず肩は強いなと、送球の速さと正確さは印象に残った。

高卒ルーキーはキャンプインから8カ月が過ぎようとしている。水上はこの日は4打数ノーヒット、山瀬はチャンスで代打を送られており、バッティングはまだまだこれからやることはたくさんあると感じた。ただ、捕手はキャッチングなどに成長の跡が見えてくる。

レベルの高いプロでもまれ、試合が高度になればなるほど、新しい課題も見えてくる。1軍へのチャンスが巡ってきた時、大観衆の中でも確実にブロッキング、スローイングができるよう、ファームで数多く実戦でもまれ、経験にしてほしい。(日刊スポーツ評論家)

送球練習を行う水上桂(2020年3月28日撮影)
送球練習を行う水上桂(2020年3月28日撮影)

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