田村藤夫のファームリポート

全力プレー? 根尾の守備に抱いた違和感/田村藤夫

<ファームリポート:みやざきフェニックス・リーグ(10)>

<みやざきフェニックス・リーグ:中日10-1DeNA>◇13日◇アイビースタジアム

中日根尾昂(2020年11月11日撮影)
中日根尾昂(2020年11月11日撮影)

日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(61)が、中日根尾昂内野手(20=大阪桐蔭)の特大場外弾にバッティング面での成長を感じながらも、ショートでどこか全力を出し切れない動きに違和感を覚えた。

昨年まで2軍のバッテリーコーチを務めていたので、根尾の動きは近くでよく見ていた。初回の第1打席では、DeNA先発の坂本裕哉(23=福岡大大濠-立命大)に対し、カウント0-2から、145キロの高めボール球を空振り三振。昨年、速い球に差し込まれる場面を目にしてきただけに、変わっていないかなと感じた。

だが、第2打席ではカウント3-1から、141キロの内角直球を右翼場外へ運んだ。見事な打球だった。ちょうどウエスタンを回っている編成担当がいたので聞いてみたが「今年見た中では、インコースに対してこうしたバッティングは初めて」と驚いていた。正直、私もインコースを打てるようになったのかと感じた。打ったのは決して甘いボールではない。高さはベルト付近。ベースにかかってはいたが、いいコースに制球されたボールだった。

確かに成長したと思いたくなるが、もう少しじっくり見たいとも思った。

昨年まで、根尾が仕留めてきたのはいずれも半速球が多かった。130キロ台後半から140キロ台前半。今日捉えたボールも141キロ。それでも昨年なら、あのボールはファウルになっていたと思う。ボールへの反応、バットの出方など、確かに少しずつ対応できていることは間違いない。

兆しが見えてきた打撃とは反対に、ショートに入った根尾の動きにどうもスッキリしないものを感じた。

この試合で2度打球を処理したが、スローイングが安定していない。試合前のノックから見ていたが、指に引っかかった送球が一塁手の右へそれたり、併殺の連係プレーではセカンドへの送球が抜けた場面があった。もともとショートスローが苦手な面があったので、まだ克服できていないようだ。

打球処理の時にシングルで捕りにいくのが気になった。なぜ両手でいかないのか。楽をしているのかなとも思うが、根尾は非常にまじめだ。楽をする性格ではない。

そして、最も気になったのが、全力で必死にやっているようには見えなかったことだ。先述したように、根尾の性格からして気を抜いたり、油断することはないはずだ。野球に取り組む姿勢も良く、手を抜く選手ではない。そうした一面を知るだけに、余計に全力に見えない部分が気になった。

思い当たるとしたら、無難に無難にプレーしようとしているのかもしれない。スローイングが安定していないこともあり、ミスをしないよう恐る恐るプレーしているのかもしれない。

今日の打球なら、根尾らしい瞬発力で前に出て、捕球してから送球まで思い切ってやればいいのにと感じた。エラーしてもいい。エラーを嫌がって、無難に、きれいにこなすのは、根尾らしくない。

高卒でショートに挑む若手を見ていると、いつも日本ハムの田中幸雄の若い頃を思い出す。どれだけ暴投をしても、へこたれずに全力でやっていた。その姿を見ているからこそ、根尾のどこか無難にこなそうと映るショートが物足りなかった。フェニックス・リーグで中日はもう1試合見る予定だ。根尾の吹っ切れた全力プレーを期待したい。

14日は広島-西武(天福)の予定。(日刊スポーツ評論家)

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