名前を聞き、懐かしく思った野球ファンも少なくないだろう。四国IL・徳島は19日、新たな球団代表の就任を発表した。球団OBの谷田成吾氏(26)だ。

26歳の球団代表は、NPBや他の独立リーグにもいない日本最年少。「球団経営の勉強をしていかないといけません」と口元を引き締めたが、若さこそ、谷田氏の武器でもある。「プレー経験は、他の球団代表の方にはないもの。選手の気持ちが分かる。生かしていきたい」。1年前まで現役の引き締まった体で続けた。

慶応高から慶大に進み、東京6大学野球通算15本塁打。強打の外野手として鳴らし「由伸2世」とも呼ばれた。卒業後は社会人の名門JX-ENEOSへ。高校、大学、社会人全てのカテゴリーで日本代表に選ばれた。18年には米球界挑戦を経て、徳島入り。その年限りで現役を引退した。

「本当は3年ぐらい会社で頑張って、独立しようと思ってました」と打ち明ける。この1年は都内の企業でITビジネスの最前線にいた。野球を離れ、ビジネスの世界での成功を描いていた。道が変わるきっかけは、今年9月。徳島からオファーが届いた。「1、2カ月、迷いました。ただ、引退後も球団の方と独立リーグの発展について話す機会が多かった。徳島という町、チーム、チームメートも好きになった。僕で力になれれば」と決断した。

独立リーグはNPBを目指す若者の集まりだ。谷田氏は願いかなわず、NPBには進めなかった。だからこそ「現役の時、こうしておけば良かったとか、引退後のこととか、選手を幅広くサポートできればと思います」と言える。バットとグラブを名刺入れとパソコンに持ち替えて。野球界に帰ってきた。【古川真弥】