あかん、サブイボ、出たわ。関西人ならそんな話をしたかも。思わず鳥肌が立つようなラッキーセブンの集中攻撃だった。今年もあかんのか。そう思いがちな虎党に勇気をもたらす勝利である。だが、ここで強調したいのは「第2戦が大事」ということだ。

今季、巨人との直接対決は6度目。過去5度の対戦で阪神はすべて初戦を取っている。だからこの日で6戦全勝となった。「カードあたまが大事」というのはちょっと野球を知っている人なら誰でも言うことだが、今季の巨人戦に限ってはそれがあまり意味を持っていないことになる。

初戦は6勝したが2、3戦目の勝率が極端に悪い。第2戦が1勝4敗、3戦目も1勝4敗。計10試合で2勝8敗だ。それで16試合で8勝8敗のタイになる。

こうなっている理由はいろいろあるだろうが、独断と偏見で言わせてもらえば、ここに巨人の恐ろしさを感じているのだ。名将・原辰徳は淡々と敗戦を振り返っていたようだが本音ではこんな感じではないか。

「阪神さん、なかなか頑張ってるじゃん」。あくまで想像だけど、そのぐらいの余裕を持って見ていると思う。だから1戦目を見て、いろいろ手を打ってくるのだ。連覇の巨人、名将。比べて阪神、その指揮官・矢野燿大の間には大きな“差”がある。

だからこそ矢野も大勝負に出た。このスタメンだ。サンズも佐藤輝明もおらず、迫力にかける。悩める西勇輝対策として、捕手は前回から組ませている坂本誠志郎で正捕手・梅野隆太郎の名前もない。正直に書くけれど、これで負けていれば「何してんねん…」という印象だったろう。

そんな試合で逆転勝利。殊勲は7回の攻撃で結果を出した打者たちだが投手陣も踏ん張った。西勇輝も勝てなかったが6回3失点。特に効いたのが2番手の岩貞祐太だ。2点差にした7回に出たがいきなり四球。どうなることかと思ったがなんとか無失点でこらえた。これがその裏の攻撃に生きたのだ。岩崎優、スアレスにつなぐ7回を岩貞でいければ、ブルペンは一気に落ち着くはず。

4日の巨人先発は阪神は今季4敗を喫している高橋優貴だ。同じ投手に5敗するようではなにをか言わんや、だ。大事な2、3戦目だ。「明日以降も一丸で巨人に向かっていきます」。まずは“大勝負”を取った指揮官の言葉を信じたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)