折尾愛真がハプニングを笑いに変えて、初の決勝進出を果たした。試合前に背番号6の斉藤隼人内野手(2年)が、ユニホームを寮に忘れたことが発覚。1度は石見駿捕手(3年)を遊撃に回すなどで斉藤をベンチから外すことも考えたが、奥野博之監督(48)が背番号9を上下反対にして付け直すことを思いついて、試合前のシートノックになんとか間に合った。そのせいで本来の背番号9の古野皓大外野手(3年)は試合前の整列も含めてベンチから外れざるを得なかった。チームスタッフが車で40分くらいの寮にユニホームを取りに行き、1回裏の攻撃中に戻ってきてやっとベンチ入り18人がそろったドタバタのなか、始まったゲームだった。

 その斉藤が「汚名返上」とばかりに2打席目から3打席連続出塁で2盗塁などで先制点を含めて3得点をマーク。斉藤は「普通にかばんにユニホームを入れるのを忘れてしまった。焦ったけど、周囲の人から気にするなと言われてリラックスできました」と苦笑いを浮かべていた。

 奥野監督は「忘れたことは仕方ない。笑っていこうと言いました。盗塁は執念でしたね」と白い歯を浮かべた。創部15年目でつかんだ初決勝の舞台。ピンチを笑いに変えたナインが、一気に初甲子園をつかみとる。