空前の盛り上がりを見せた昨夏の甲子園100回大会。2019年も高校野球を熱くしてくれる選手が数多くいます。今年のドラフト候補選手を紹介。今回は1年時から名門で主力を担う智弁和歌山・黒川史陽内野手(2年)です。

自校グラウンドで日課になっているロングティー打撃。黒川が懐の深い構えから鋭く振り抜くと、打球は100メートル先のフェンスをゆうに越え、その先の岩肌をゴツンと直撃する。強打者ぞろいの智弁和歌山でも快打の精度と飛距離は群を抜く。冬場の練習で体格も大きくなり、世代屈指の巧打者は迫力を帯びてきた。

1年時からクリーンアップ打ち、前チームでは主に6番で強力打線の一翼を担った。プロ経験のある中谷仁監督(39)も「練習量、野球に取り組む姿勢は僕が見てきた中でもNO・1」と全幅の信頼を置く。

黒川の代名詞とも言えるのが勝負強さ。昨年のセンバツは準々決勝の創成館戦で逆転サヨナラ打。東海大相模との準決勝でも8回に同点打で決勝進出に貢献した。夏の和歌山大会でも決勝でサヨナラ犠飛を放ち、甲子園行きを決めた。

新チームでは主将になった。「キャプテンをやりたい思いがあった」とチームを引っ張る自覚は十分だ。父洋行さんは上宮(大阪)で93年センバツを制覇。しかも、同じ主将で、同じ二塁手だった。26年の時をへて、黒川も「日本一を目指す」ときっぱり。昨春、あと1勝届かなかった紫紺の優勝旗を見据える。

◆黒川史陽(くろかわ・ふみや)2001年(平13)4月17日、奈良県生まれ。小学校入学前から河合フレンズで野球を始め、河合第一中では泉州阪堺ボーイズでプレー。智弁和歌山では1年春からベンチ入り。1年夏に3番で甲子園デビュー。右投げ左打ち。181センチ、78キロ。