西東京は佼成学園が昨秋東京王者の国士舘を倒し、決勝に進んだ。同点の9回、佐藤凜二塁手(3年)が左中間へ決勝ソロを放った。

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2時間25分の熱戦にケリをつけた。9回先頭。佐藤は内寄りツーシームを完璧に捉えた。国士舘の投手は公式戦初登板の鎌田。データはなかった。「自分が好きなストレート狙いでした。たまたま当たりました」と謙遜したが、左中間への高校通算13号は会心だった。「打った瞬間、いったなと。カウントは2ボール1ストライクでしたか? 1ボールですか」。カウントを忘れるほど興奮した。ダイヤモンドを回り、沸き上がる仲間に迎えられた。

努力家だ。入学時はやせ形だったが、トレーニングを頑張り、身長168センチ、体重69キロの引き締まった体に。3カ月にわたるコロナ自粛期間中は、自宅で毎日素振り300スイングを欠かさなかった。漫然とは振らず、中堅から右中間と逆方向を意識した。最後の夏に照準を合わせ、今大会2本塁打と調子を上げた。

選手権大会とは異なるが、佼成学園が夏の西東京で決勝に進むのは8年ぶり。優勝すれば74年以来46年ぶりとなる。準々決勝では名門・日大三にサヨナラ勝ち。快進撃に、学校は応援の電話が鳴りやまないという。佐藤は「この勢いで優勝して、監督さんを胴上げしたい」と意気込んだ。帽子のつばの裏には「つなぐ」と書いた。つなぎの打撃の意味だが、歴代OBの思いもつなぎ、半世紀ぶりの頂点を目指す。【古川真弥】